<在日中国人のブログ>よく作られるチャイナタウンと作られないジャパンタウン

黄 文葦    2019年3月15日(金) 20時10分

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この十数年、池袋周辺にだんだんチャイナタウンが形成されてきた。中華料理屋のほかに、中国語新聞社、中華物産屋、中国貿易関連会社などが続々池袋で生まれている。在日中国人に関するイベントも多数行われている。写真は池袋。

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この前、初めて西川口に行った。駅周辺に点在する派手な中国語看板に驚いた。中華料理屋さんが多くて、店の中に入ると、中国語が飛び交い、雰囲気はまるで中国そのもの。現在、西川口には新たなチャイナタウンができあがりつつある。

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そういえば、この十数年、池袋周辺にだんだんチャイナタウンが形成されてきた。中華料理屋のほかに、中国語新聞社、中華物産屋、中国貿易関連会社などが続々池袋で生まれている。在日中国人に関するイベントも多数行われている。

周知のように、横浜中華街は華麗なるチャイナタウンである。すでに都市ブランド・旅行スポットになっている。日本では最も有名な開放的な中華街だと言える。

最近、大阪市西成区のあいりん地区周辺の商店街に「大阪中華街」をつくる構想が浮上しているらしい。商店街で飲食店などを営む在日中国人の団体が計画しており、高齢化による閉店などが相次ぐ商店街の活性化を狙う。しかし、周辺では中国人経営のカラオケ居酒屋による騒音トラブルなどもあり、地元商店主らからは中華街の構想に反対の声も上がっている。

それは想定内のことだと思う。過去、池袋でも地元住民がチャイナタウンに反対し、計画が流れた経緯がある。

新しい中華街を作るにはどのような条件が必要だろうか。敢えて個人的な意見を言うと、中国人客だけを呼ぶ中国人客だけが楽しめるような閉鎖的なチャイナ「城」には反対である。チャイナタウンで中華文化をアピールしようという姿勢にも懸念する。異国情緒が溢れてもチャイナタウンが地域に溶け込む努力をしなければならない。地域との一体感を大切に、地域文化を尊重しなければならない。「中華街をつくるぞ」と一方的に情熱的なスローガンを掲げると、地元の人々は戸惑うはずである。自身が「地域活性化」の救世主だというような態度を控えてほしい。また地元の人々の意見に耳を傾け、寄り添うことが大事だろう。

西川口では毎月1回、西川口駅前で清掃活動が行われている。中国人、日本人が力をあわせてゴミを拾う。時には町内会長さんも清掃活動に参加してくださるという。そういう活動は、確かに地域活性化の一環だと見られる。これでも西川口は新たなチャイナタウンとしての長所だと言える。

ただし、違う角度から見ると、なぜチャイナタウンには清掃活動が必要だろうか、と問いたい。残念ながら、騒音とゴミ、いまだに中国人が集まる地域の課題になっていると認めざるを得ない。チャイナタウンに対するマイナスイメージが変わる日はいつ来るだろうか。私たちの努力はまだまだ続けるべき。道程は長いようである。

そもそも、日本人はあまり海外でジャパンタウンを作らない。私はバラエティー番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」が好きだ。世界各地の小さな村や町に住む日本人を芸能人が訪ね、その生活やその地に住むようになった経緯、それまでの半生などを紹介する。地球の隅に住むたった一人の日本人が強く生きる姿にいつも感心を覚える。目立たないけれども、懸命に当地の文化を身につける。

よく作られるチャイナタウンとあんまり作られないジャパンタウンから、日本人と中国人の性格の違いが垣間見える。日中文化の相違点をも見つけられる。日本でのチャイナタウンが成長するには日本文化を吸い込むことが不可欠だと思う。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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