日本僑報社 2019年4月5日(金) 15時10分
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言語にはそれぞれ独特の表現や使い方が存在し、それは往々にして使用される国や地域の社会性が反映されるとも言われる。上海杉達学院で日本語を学ぶ王之妍さんは、日本語の中に発見した「日本らしさ」についてつづっている。
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言語にはそれぞれ独特の表現や使い方が存在し、それは往々にして使用される国や地域の社会性が反映されるとも言われる。上海杉達学院で日本語を学ぶ王之妍さんは、日本語の中に発見した「日本らしさ」について、以下のようにつづっている。
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「あなたのことが好きです」。日本人が愛を告白する時は、こんな表現がよく使われるそうです。そこには「こと」という言葉がありますね。この言葉は「ある対象を中心にし、それに関する一切のありかた」という意味だそうです。
でも、どうして「こと」を使うのでしょうか?文法的に言えば、「あなたが好き」で十分なのに、なぜわざわざ「こと」をつけるのでしょうか……?中国語に翻訳したとしても「我喜歓你」になるだけで、「我喜歓与你相関的事」とはなりません。ですから、この言葉は日本人のある性格的な特徴を伝えているのだと思います。日本人は告白に対して、きっととても恥ずかしくて慎重なので、こんなに優しくて婉曲な言葉を作ることができたのだと思います。
そのほか、「こと」には感嘆、発問と命令など、話し手の気持ちを伝えるための使い方があります。たとえば、「まあ、きれいに咲いたこと!」とか、「その後、お変わりありませんこと?」とか、「授業中には、タバコを吸わないこと」など、いろんな場面で使用されています。とても面白くて、日本らしい言葉だと思います。
また、日本では女子用の語気助詞が中国より多く、しかも、日常生活で頻繁に使われていることに気づきます。中国の場合、「~啦」や「~呢」とかはあっても、あまり日常会話には使われません。日本語で「~もん」や「~わ」などが使われると、人に甘える雰囲気があって、なんだか女子っぽい感じがあふれてきます。今、多くの中国の女性は人に甘えることに慣れていません。これは多分、中国の現代女性が日本の女性より少し独立しているからかもしれないと思います。日本人のみなさん、いかがでしょうか?
文法から言えば、日本語は動詞を最後に置く言語です。となると、一つの日本語のセンテンスを最後まで聞かないと、その意味の全体を理解することはできません。この点からは、日本人の性格の内に、辛抱強くて優しいという特徴があるのがうかがわれると思います。
ほかにも、日本語の話し言葉にはいろいろな変形がありますね。たとえば、「~っす」は「~です」の変形の一つです。男子運動部の子が先輩に挨拶する時に、よく「おっす」を使うらしいです。「おっす」は「おはようございます」を簡単にした形だそうです。このような形は、短くて力強い感じが込められていて、日本の男子運動部の若者たちの元気さをよく表現していると思います。日本は他の国より学生時代の部活動を重視しているので、このような、とても特徴的な言葉が生まれるのでしょうか。それは外国人の私にとって、すごく面白くて印象深い言葉です。
日本語は、もともと多くの外来文化を吸収した言語です。だからこそ、日本語はこんなに高い柔軟性を持つ言語になったのだと思います。日本語を母語とする人は、日常生活の利便性のためによく言葉を省略しますが、意味は思い通り相手によく伝えられています。そんな行為の中から、また新しい日本語の語彙がたくさん生まれました。だから、日本語は時代とともに進化することができる言語かもしれないと思います。
最近、「ワンチャン」という言葉が出てきました。これは「犬(ワンちゃん)」のことではなくて「ワンチャンス(one chance)」の略語です。「可能性がある」という意味です。だから、「ワンチャン行ける」は「もしかしたらできる」という意味です。「犬は行ってもいい」ではありません!
日本語のこの柔軟性からは、進歩を求めて新時代の発展に適応し、もっと多くの外来文化を吸収しようとする日本人の積極性が感じられます。とはいえ、たとえ進歩を続けていても、日本語にはやはり日本人の性格や個性が潜んでいます。だから、日本語はとても面白くて奥深い言語だと思います。これからも日本語の勉強に努力して、その中に潜む「日本らしさ」をどんどん探してみたいと思います。(編集/北田)
※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、王之妍さん(上海杉達学院)の作品「日本語の勉強を通じて発見した『日本らしさ』」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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