長春うさぎ 2019年5月3日(金) 15時30分
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横浜へ映画を観に行くと、『芳華』が上映中。気になり早速家で観てみました。
横浜ミニシアター、ジャック&ベティへ映画を観に行くと、『芳華』(中国/2017)が上映中。気になり早速家で観てみました。
映画館で観る楽しさもあるのですが、字幕が日本語なんだよね、中国語の字幕がほしいのです。中国語はやはり日本人には全て聞き取ることは難しい。中国語の字幕があると大変助かります。幸い、ほぼ全ての中華圏movieには、英語と中国語の字幕があり、大変有難い。
また、インドと中華圏の映画については、観たい作品はほぼネットにあるので、こちらも本当に有難い。U-Nextなど配信で「映画観放題」も契約しているのに、カテゴリージャンル「アジア映画」もあるのに、韓国映画を観る時以外は使わない状態です。
●とても爽やか、でもこれでいいの??なモヤモヤ感
さて、『芳華』を観た感想。とても爽やか~、でもこれでいいの??という気持ち。
文革終盤~四人組~中越戦争に青春時代を過ごした文芸工作団の若者たちの群像ストーリー。この頃と言えば、中国現代史で最もぶっ飛んだ時期ではないですか。そのカオスに国民がずっぽりハマってしまった混乱と恐怖。が全く説明されておらず、折り目正しくサクサクと物語は進んでいきます。
子ウサギのようなか細い少女、小萍 は17歳。4歳の頃に父親は改造にて下放、母は生きるために再婚し、娘を愛しむ余裕が無くなり、孤独で惨めな境遇。なんとか文工団に加入し生きる術を見出すのですが、北京語で捲くし立てる綺麗なお姉さま方に圧倒されてしまいます。
とheavyなのですが、小萍、貧しい設定なのに、アイロンきっちりな新品衣装着てるし。出てくる役者さん全て清潔感あふれ、育ちが大変良さそう。洗練された兄さん姉さん達なのです。そう、とても爽やか。満たされまくりなオーラを放つ今ドキ兄さん姉さん達に、あの怒涛の時代を表現させるのは、無理な話では…
さらに、各場面で挟みこまれる10代の少女達によるブルマ?なレオタード、シャワーシーン、ブラ着替え、など。そのシーン必要?、とツッコミたく。プールで遊ぶ?訓練する?シーンもあるのですが、粛清の時代にそんな華やかな水着、着れんの?てゆうか、プールで戯れるて、ブルジョワなの?オイ。あれ?ブルジョワでなく共産党幹部だよな?その頃だったら?と訳が分からなくなってきました。
というわけなので、文工団が辺境まで慰問活動をしたり、中越国境への看護支援など過酷な姿も描写されているのですが、どこまでもNHK朝ドラ風。ドロドロ&ベトベトした、汗や埃など微塵も感じない仕上がりに。「爽やか」なんですよ。「爽やか」すぎて、出演者皆、イイ人に見えてしまいます。
厳しく叱責され、みじめな小萍、のはずが、お姉さま達が毅然と美しすぎる。作品イチ際立つ爽やか劉峰役のホアン・シュアン(黄軒)も、恋人に裏切られ、公安に連行されるというエグいシーンあるのですが、朝ドラなもんで、薄いー。クタビレ感出てないもん。
そんな中、舞踏老師を演じていた蘇岩がとても頑張っていました。厳しく威厳ありまくりな雰囲気は、「当時いそうだな~」と思わせ、彼女は叫ぶ「~同志――!!!」というセリフ、似合いすぎます。素敵でした。
「あれれ?」と思ってしまうことが多いのは、文化大革命期の混乱を描いた大傑作『芙蓉鎮』(1987年/中国)と無意識に比べてしまったせいか。大陸に住む今ドキな若者に合わせて、こういう風な作品になっているのなら、私の方が過去的感覚になっているのかもしれませんねハハ笑
■筆者プロフィール:長春うさぎ
外国語大学にて中国語を専攻。吉林省の大学に2年間国費留学して以来、中国圏カルチャーはかけがえのないものとなりました。留学後はずっと日本に居ますが、中国語で同僚と話したり、You tubeで映画やTVを観たり、potcastでFMラジオをon timeで聴いて、日本に居ながらLIVEなチャイナカルチャーを楽しんでいます。身近にある「チャイナ」な日々をご紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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