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<日本人が見た中国>日中の険しい国民感情は、正しい相互理解から雪解けする

Record China    2013年4月2日(火) 6時10分

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2012年9月の尖閣諸島日本国有化以降、緊張を続ける日中関係。今後、両国がうまく付き合っていくには、まずお互いのことを正しく理解する必要があると思うが、現状はそれさえも達成されていない。写真は2012年9月18日、北京の日本大使館前で行われた反日デモ。

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2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化以降、緊張を続けている日中関係。相手国に対する国民感情が悪化したままであるため、両国政府とも国民から弱腰と糾弾されないように、強硬な態度に出ざるを得ない状態が続いているようだ。

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中国に長く住む日本人である私の目から見ると、日本人が言うことも中国人が言うことも両方ともよく分かる。それぞれの歴史や国情、そして人々の考え方などの違いを考えれば、日本側も中国側も「そういう主張になるだろうな」と思う。一方、両国の国民感情が一向に改善しないのは、お互いに相手国やその国民に対する理解が圧倒的に足りないせいであると私は思う。

私は今後、日中両国がうまく付き合っていくためには、

1.お互いのことを正しく理解する

2.お互いの考え方や習慣が違うことを知る

3.違いを知った上で、どうすればうまく付き合っていけるかを考える

という3つのステップを経る必要があると思っている。

しかし、現状ではステップ1の「お互いを正しく理解する」でさえも達成されていない。それは多くの人にとって主要な情報収集ツールであるテレビや新聞が、必ずしも真実を伝えていないためである。

中国のマスメディアは政府によって統制されており、中国共産党にとって都合のよい情報しか流せないようになっているので、真実が伝わらないのは仕方がない。しかし、報道の自由が保証されているはずの日本のマスメディアとて、必ずしも中国の正しい姿を日本人に伝えているとは言えない。

日本のマスメディアは事実のみを報道する。しかし、例えば「北京でデモ隊が反日を叫んで行進しています!」というようなセンセーショナルな事件は報道するが、「でも、ほとんどの人は本当は日本なんてどうでもよくて、普段は自分の会社での昇進と、一人息子の進学のことばっかり考えています」などというニュース性のない日常はおもしろくないのでなかなか報道できない。これでは日本人が「中国人はみんな反日だ」と思ってしまっても無理はない。かく言う私も、昨年の反日デモのときには日本のテレビを見て「中国って怖いところなんだなぁ」と改めて思ってしまった。中国に住んで自分がナマで感じている中国と、日本のテレビを通して感じる中国の間には、大きな温度差があるのだ。

日本人と中国人の正しい相互理解を促進するためには、やはり、多くの人々が相手の国を自分の目で見て、相手の国の人と実際に話してみることが必要だ。東京大学北京大学の学生が、両国間に横たわる問題について英語で徹底的に議論する「京論壇(JING FORUM)」という活動がある。これを見ていると、両国の最高学府の学生と言えども、お互いに議論を交わすまでは、相手国や国民のことをいかに理解していないか、ということがよく分かる。

私には夢がある。それは、日中間のビジネスで築いた富で、日本人と中国人の相互理解を促進する支援財団を設立することだ。しかし、一方で、私がそれだけの富を築くころまでには、日中の正しい相互理解が進み、そんな財団を設立する必要がない状態になっていれば良いな、とも思う。

■筆者プロフィール:柳田 洋

北京華通広運物流有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。2012年、日本の国力の維持に微力ながら貢献するために、中国市場開拓サポートサービスを開始。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。

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