AIIB総裁が東京で会見、米中経済摩擦「世界全体に悪影響」=日本の金融機関との提携期待「急成長のアジアには巨額のインフラ需要がある」

八牧浩行    2019年5月21日(火) 9時40分

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金立群AIIB総裁が東京で記者会見、米中経済摩擦は「世界全体に悪影響を及ぼす」と懸念した。「急成長のアジアには巨額のインフラ需要がある」と指摘、日本の金融機関との提携に期待した。写真は会見する金立群氏。

2019年5月20日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁が日本記者クラブで会見し、米中間で激化している貿易摩擦について「世界の2大国に何か問題が生じれば、世界全体の経済に悪い影響を与える」と表明。「開発途上国とっても大変なことになる」と懸念した。

金総裁は発展目覚ましいアジアには巨額のインフラ需要があり、資金が不足していると指摘。日本の商業銀行のほか、アジア開発銀行(ADB)や国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)など地域のプレーヤーと一緒に協調融資をさらに拡大していきたい」と強調した。特に日本の金融機関に「アジアのインフラ整備に関する投資で幅広い経験を持っている」と言明、提携に意欲を示した。

金氏はAIIBとして初の外債発行(25億ドル=約2750億円)が5月初めに決まったことを挙げた上で、「資本市場への参加によりグローバル投資家の支援を得て、インフラ投資を促進できる」と意義を強調した。

AIIBが17年にS&Pグローバル・レーティングなど米英の大手格付け会社3社から、最上位にあたる「トリプルA」の格付けを得たことや、世界の投資家の支持を得て外債発行が可能となったことを挙げ、「世界から信頼され存在感も高まっている」と胸を張った。

また「AIIBが融資するプロジェクトでは、AIIBに加盟しているか否かや、国・地域に関係なく世界中のどこの企業でも入札に参加できる国際競争入札を実施している」と強調。「クリーン(透明)」と「グリーン(環境)」を融資基準としていると明かした。人材採用に当たっては「世界中のあらゆる場所から最高の候補者を探し続けている」と述べ、日本からの応募も歓迎した。

中国が途上国に過剰に貸し込み、返済が滞る「債務のわな」が問題となっていることに関し、金氏は「返済可能な債務にする必要がある」としながらも「中国と連携を密にしたい国は多い」と指摘した。

AIIBは新興国のインフラ整備を資金面で支援するため、2015年12月に発足した国際金融機関(本部北京)。97か国が加盟し、これまでに総額79憶5000万ドル(約8000憶円)に上る39件のプロジェクトを承認した。金立群氏は、中国の財務省次官やADB副総裁を歴任し、初代AIIB総裁に就任した。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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