日本とミャンマーの関係強化、経済より中国けん制の政治的要因が大きい―中国メディア

Record China    2013年5月28日(火) 13時3分

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27日、国際金融報によると、安倍首相は今月25日、3日間のミャンマー訪問を終えた。日本の首相によるミャンマー訪問は1977年の福田赳夫首相以来だ。写真はミャンマー・マンダレー。

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2013年5月27日、国際金融報によると、日本の安倍晋三首相は今月25日、3日間のミャンマー訪問を終えた。日本の首相によるミャンマー訪問は1977年の福田赳夫首相以来だ。日本企業40社の代表を伴い訪問した安倍氏は、ミャンマー軍政期の両国間の冷え切った関係を一挙に打破し、積極的に経済外交を繰り広げる姿勢を打ち出した。

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日本メディアによると、安倍首相はミャンマー経済の成長促進に向けた包括的援助計画について同国と合意に達した。ミャンマー経済成長の足かせとなっている電力不足問題を解決するため、日本は2030年までの同国全土の電力開発の基本計画を策定する。また、同国の債務5000億円の返済を全額免除し、1000億円規模の政府開発援助(ODA)を表明した。

だが日本問題の専門家は国際金融報に「36年ぶりの首相訪問によって両国の経済貿易関係が強化されるかどうかは未知数だ。安倍氏の今回の訪問は中国の発展を封じ込め、牽制し、『価値観外交』路線を実践することをより大きな目的としているからだ」と指摘した。

■日本の引き立てを得たミャンマー

日本がこれほどミャンマーを引き立てるのはなぜか?「ミャンマーの地政学的位置、豊富なエネルギー資源という2つの客観的要素が、日本および米国など西側諸国が次々に同国との関係を強化している重要な原因だ」。中国社会科学院日本研究所の厖中鵬(パン・ジョンポン)氏は国際金融報のインタビューに「ミャンマーは南アジアと東南アジアおよび中国南西部の結合部に位置し、南アジアと東南アジアおよび中国南西部の陸上交通の要路であり、自ずと地政学的・戦略的に重要性を持つ。ミャンマー最南端のメルギー諸島は世界の海上石油輸送の要衝であるマラッカ海峡の最北端を守っている。また、西部と南部がベンガル湾に面していることもあり、ミャンマーは『陸海兼備』の優良な地政学的・戦略的位置を占める。しかもミャンマー本土は石油と天然ガスなどのエネルギーおよびタングステン、スズ、ニッケル、鉄、銅、宝石などの鉱物資源を豊富に埋蔵している」と説明した。

ミャンマー自体の持つ客観的要因以外に、より深いレベルの要因も軽視できない。厖氏は「ミャンマーのここ2年の政治体制転換、特に『民主の闘士』アウンサンスーチー氏の政界復帰により西側諸国は『ミャンマーは価値観が近い国であり、関係を発展させることができる。ミャンマーとの関係強化は政治転換の褒美、アウンサンスーチー氏ら野党への励ましと見なすこともできる』と考えるようになった。このほか、ミャンマーは中国と深い関係にある。中国とミャンマーは近年、両国を結ぶ石油・天然ガスパイプラインを建設している。このパイプラインは中国の雲南省昆明市へ通じ、中国南西部陸上の重要なエネルギー大通路となり、マラッカ海峡のエネルギー輸送をめぐる苦境から脱する打開策を中国に提供する」と指摘した。

厖氏によると、以上の要因から見て日本がミャンマーとの関係発展を加速しているのは、第1にエネルギー危機解決に向けてエネルギーを輸入するため。第2に日本経済、特に日本企業の中国への投資集中による経済的リスクを分散するため。日本にとってミャンマーは輸出促進対象国の1つだ。ミャンマーは後発国で、日本など西側諸国の投資を急いで必要としている。ミャンマー経済は急成長が見込まれるものの、電気、水道、道路などインフラ整備が遅滞し、投資環境はまだ整っていない。第3に中国とミャンマーを引き離し、中国南西の後方に戦略上の楔を打ち込み、中国とミャンマーのエネルギー協力を牽制し、妨害するため。第4に米国と歩調を合わせるため。米国と歩調を合わせてアジア太平洋地域での影響力を強化する意図は濃厚だ。

■期待通りにはいかない可能性

それだけではない。多くの発展、成熟した国から見てミャンマーは若い国でもある。ミャンマーは5500万人余りの人口を擁し、その大多数が若い労働力人口だ。ミャンマーに投資することで「豊富な労働力」の強みを享受することができる。しかも労働者の年間人件費は1100ドル(約11万1000円)で、周辺国のバングラデシュの1478ドル(約14万9000円)、ベトナムの2602ドル(約26万2000円)、タイの6704ドル(約67万7000円)と比べると、東南アジアで最も安上がりな製造業センターとなる資格を十分に備えている。

だがミャンマーは経済的に立ち後れた国だ。特に交通や通信などインフラ整備は大変立ち後れている。厖氏によると、日本企業の懸念を取り除き、後押しするために、日本・ミャンマー両国政府はまずインフラ整備で協力しなければならない。だがミャンマーは政治的移行を果たしたばかりで、国内政治は非常に複雑なムードにある。2015年に大統領選が予定されているが、アウンサンスーチー氏の指導する「国民民主連盟」が勝利できるかどうかはまだ不透明だ。国内では各勢力が次期大統領選に向けて競い合い、複雑な様相を呈している。また、イスラム教徒と仏教徒の対立も激しく、昨年は流血の衝突も起きた。北部反政府勢力と政府軍の対峙をどう解決するかも非常にやっかいな問題だ。ミャンマーという情勢の予測しがたい国に足を踏み入れるのは、日本にとって将来への懸念が残るものだと言えよう。

「経済外交の重心をタイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどのASEAN諸国に転換するのなら理解できる。こうした国々は政治的に安定しているといえるからだ。だが日本企業がミャンマーに投資を転換した場合、投資を回収して収益を上げられるかどうかは何とも言えない。日本とミャンマーの突然の関係強化は、経済的要因よりも政治的要因の方が大きい」と厖氏は言う。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山

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