日韓対立なぜ制御不能に?歴史問題だけではないそれぞれの事情―中国メディア

Record China    2019年7月12日(金) 6時20分

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中国メディアの新京報は11日、「本当に始まった、日韓貿易戦はなぜ制御不能になったのか」と題するコラム記事を掲載した。資料写真。

中国メディアの新京報は11日、「本当に始まった、日韓貿易戦はなぜ制御不能になったのか」と題するコラム記事を掲載した。著者は評論家の徐立凡(シュー・リーファン)氏。

徐氏は日韓の対立の原因について、「おそらく戦後賠償の問題だけではない」と指摘。日韓請求権の問題については、「実は日本は韓国に対して戦後賠償を行っている。1950年代から、米国は日韓両国の関係が正常化するよう仲介してきた。しかし、日韓間の恨みは深く、十数年間も進展せず。そして1965年、ようやく日韓両国は合意に至った。日本は韓国に対して、無償および有償の経済協力資金を提供することによって、請求権問題を解決した。これは日韓外交の基礎となった」と説明した。

一方で、2012年に韓国最高法院が「個人の請求権は消失していない」との判断を示したことについて徐氏は「日韓請求権協定には、第2次大戦で日本に徴用された労働者の精神的な損失の賠償までは含まれておらず、この判決にも道理がある」と指摘。「徴用工の問題と慰安婦の問題が、近年の日韓関係をこじらせる主要な難題になってきた。韓国にとっては歴史の正義の問題、日本にとっては安倍首相の政治志向の問題であり、どちらも引くことはできない」と解説した。

また、日韓が過去にも同様の問題で対立を繰り返してきたことに言及し、「なぜ今回は様相が違うのか」と疑問を提起。日韓それぞれの立場から考察している。

まず日本の立場について、「安倍首相は在任期間が歴代最長となり、政権運営が安定しているため、日韓関係の浮き沈みに耐えうる資本を有している」と指摘。「参議院選挙を控え、憲法9条にどうしても自衛隊を書き加えて日本軍を完成させたい安倍首相は、韓国に対して歴史問題で頭を下げるわけがない。そうすれば、憲法改正に向けた支持を失い、3分の2の議席を確保できないからだ」と論じた。また、日本がフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目に輸出規制をかけたことについて「日本の意図は、韓国に日韓請求権協定の有効性を強引に認めさせることにある」とした。

韓国の立場については、「近年、経済が芳しくなく、失業率は過去10年で最高。文在寅(ムン・ジェイン)政権は朝鮮半島問題などで積極的な姿勢を見せているが、政権安定のために必要なのは経済だ」と指摘。「日本は韓国半導体産業の首根っこを捕まえ、歴史の話をさせなくした。そして、歴史問題で強硬姿勢に出ることは、韓国の歴代の指導者の基準ともなっており、文大統領は反撃に打って出るしかないのだ」と論じた。

韓国はWTO(世界貿易機関)への提訴を準備していると報じられているが、徐氏は「解決の見込みはない」とし、「まず、時間的な問題がある。WTOの仲裁は通常、時間を要する。韓国の半導体産業はその期間を持ちこたえることはできない」とした。さらに、「WTO自体にも問題がある。米国が上級委員会の委員1人の再任を阻止したことで、審理に影響が出ている」とも指摘した。

その上で、「本質的には、日韓の今回の問題は単純な貿易紛争ではない。もし、このまま制御不能の状態が続くのであれば、北東アジアの地縁政治の形勢は影響を受けることになる。米国の安全保障の重要な一部分である日韓の関係が、崩壊の可能性に瀕しているため、米国が仲介に入ることが想像できる。理性的に見れば、日韓いずれにも貿易戦の緊張を緩和させる需要はある。米国の仲介がスムーズに進めば、双方は恐らく落としどころを見つけるだろう」としながらも、「長期的には、日韓の歴史問題の溝は今回の騒動でさらに深まった。これまでも治癒が難しかった傷口は、将来のどこかのタイミングで一度また一度と開くことになるだろう」と予想した。(翻訳・編集/北田

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