中国の自動車販売台数減、「きっかけは新排ガス基準の前倒し導入」と海外メディア

Record China    2019年7月13日(土) 21時20分

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中国の自動車販売台数減が止まらない。落ち込みの原因は景気減速と米国との貿易戦争とされてきたが、ロイター通信は「中国各地で前倒しして導入されつつある新たな排出ガス基準がきっかけ」との見方を示した。

中国の自動車販売台数減が止まらない。2019年の販売予測も下方修正された。落ち込みの原因は景気減速と米国との貿易戦争とされてきたが、ロイター通信は「大気汚染対策を理由に中国各地で前倒しして導入されつつある新たな排出ガス基準がきっかけ」との見方を示した。

中国汽車工業協会(CAAM)によると、5月の自動車販売台数は前年同月比16.4%減少の191万台。11カ月連続の前年割れとなったが、5月は過去最大の落ち込みを記録した。4月は14.6%減、3月は5.2%減だった。CAAMは販売減少の理由の一つとして、中央政府が2020年7月1日に実施予定だった新排ガス基準「国6」を一部の省などが早めに導入し、業界に不透明感が広がったことを挙げた。

深刻化する大気汚染を重視した中央政府は昨年、汚染対策への取り組みを強化して地方当局に対し、「国6」基準を前倒しで実施するよう促した。この流れに最初に乗ったのは南部の海南省で、18年11月にも実施する方針を表明した。

ロイター通信によると、新基準を前倒しで実施するのは北京、上海両市や江蘇省、浙江省などの15都市・省。これらの都市や省の自動車販売台数は、世界最大の自動車市場である中国全体の60%以上を占めている。

上海市の場合、現行の「国5」基準に適合するよう製造された自動車の販売は、6月30日までしか認められなかった。その後は原則として「国6」を満たす自動車しか販売できなくなった。米国車の現地ディーラーによると、客足は依然としてあったが、「国5」適合車は買ってくれなかったという。

事情は江蘇省、浙江省でも同じだ。ロイター通信がディーラー約20社の従業員に取材したところ、「国5」適合車の販売が難しくなっていることが分った。一部のディーラーでは「国6」適合の同車種に比べて2000ドル(約21万6000円)以上のディスカウントを提示していた。

CAAMの上級幹部は6月の記者会見で「新基準の実施日は決まっていた。それなのに、なぜメーカー各社が十分な余裕を持てないような形で前倒しするのか」と不満を口にした。自動車メーカーとしては新基準に適合するためにエンジン技術に根本的な変更を加える必要は必ずしもないが、触媒を追加し、排ガスや粒子状物質を捕らえるようなフィルターシステムの改善が求められる。

さらに複数の業界関係者によれば、特定の車種について認証を得るためのプロセスには6カ月~1年かかる場合があり、中国自動車技術研究センター(CATARC)などの自動車検査機関は、急激な検査需要の増大に対応できるほどの設備を持っていない。自動車メーカー側では期待よりも少ない「国6」適合車しか市場に送り出せないことを意味し、販売減につながっているという。(編集/日向)

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