日本在住の中国系弁護士・星野天氏「日中2カ国語で意思疎通の橋渡し役に」

人民網日本語版    2019年9月6日(金) 11時40分

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日本で弁護士資格を取得することは、多くの人にとって遠い夢物語のようだが、日本在住の中国系住民である星野天氏は、この夢を現実のものにした「努力」の人だ。

日本で弁護士資格を取得することは、多くの人にとって遠い夢物語のようだが、日本在住の中国系住民である星野天氏は、この夢を現実のものにした「努力」の人だ。星野氏は2016年、自身の努力と奮闘によって、日本で弁護士資格を取得した。彼は2019年、東京で自分の弁護士事務所を構え、その誠実な心で、在日華僑・華人の手助けをしている。日本の華字紙「中文導報」が伝えた。

星野氏は、中国・瀋陽で、日本人の父親と中国人の母親との間に生まれた。小さい頃からしっかりとした中国語の教育を受けて育った。9歳の時、両親とともに来日。大学を卒業するまで家族とともに福岡で暮らした。大学卒業後、星野氏は東京のIT企業に就職した。報酬は良かったが、彼は仕事に満足できずにいた。4年間働いたあとIT企業を辞め、上智大学法科大学院を受験し、見事合格した。

日本の社会では、大学卒業後、就職して数年も経たないうちに辞めると、世間から「忍耐心や粘り強さに欠けるのではないか?」と疑いの眼を向けられる。両親に心配させたくなかった星野氏は彼らに黙って仕事を辞め、在職時に貯めた500万円を大学院の学費や生活費に充て、一人で学業に専念した。大学が閉められるお正月休みを除き、彼は毎日大学に入り浸り、1日10時間勉強に励み、ついに優秀な成績で卒業した。また、在学中に行政書士や宅地建物取引士の資格を取得、ついには司法試験にも合格した。

裁判所でのインターンシップの期間中、星野氏は、法廷で、中国人が関係する刑事事件の裁判を目の当たりにした。その事件は、彼の心を大きく揺さぶった。規定によると、外国人が関係する事件には通訳を付けることが定められているが、そのとき、通訳の能力が不足していたのか、いい加減な通訳をされたのか、中国人被告の陳述は正しく訳されなかった。

「もし、正しく通訳されていたら、判決は異なるものになっていたかもしれない。私は、法廷の場で大きな悲しみを抱いた。外国人が関わる事件を1件見ただけでも、この問題に気付いた。ならば、言葉の壁が原因となって判決内容が左右されるケースはほかにもたくさんあると想像できる」と星野氏は語る。その時から、彼は、バイリンガルという自身の優位性を活かして、中国人の合法的権利を守る手助けをしようと決心した。

「たとえば、中国語の『看』は、日本語では『見る』と訳されることも、『見張る』と訳されることもある。その言葉が使われる状況が異なると、それにつれて意味も変わってくる。このような細かい部分の通訳が正確ではないことが多々ある。だが、私は中国語と日本が分かるので、関係者のためにこうした細部を正確に表現する手助けができる」と星野氏は指摘した。

法律事務所で1年半働いたのち、星野氏は東京に自分の弁護士事務所を設立した。設立からまだ日は浅いが、これまでに、複数のベンチャー企業や中小企業、さらには上場企業から、法律顧問への就任を依頼され、中国で業務展開する際の法律面での支援を行っているという。現在、星野氏は、長期間の法律顧問契約を十数社と結び、仕事をしている。相談予約は、中国の顧客と日本の顧客の割合がほぼ1対1で、仕事中、約5割は中国語を使用している。

星野氏は、「中国系の弁護士として、強い使命感と責任感を抱いている。日本では、警察に逮捕・拘留された後、たとえ外国人であっても、親しい人との面会の際には、日本語を使わなければならず、そこには監視担当の警察官が必ず同席することになっている。一方、弁護士が容疑者と面談する場合には、このような制約はない。あるとき、中国人の母親が、拘留中の息子に面会しに来たことがある。面会現場では中国語は使用禁止なので、2人はただ涙を流しながら見つめ合うしかなかった。私も辛く耐え切れなくなり、警察に自分が通訳するから中国語での会話を認めてほしいと要求した。最終的に、警察官は、この親子が中国語で話をすることを許可した」と、過去のエピソードを語った。

また、星野氏は、「在日中国人に関する法律問題は多くて複雑だ」と話す。言葉での意思疎通がスムーズにいかない上、関連法律知識に乏しいケースもあることから、在日中国人はしばしば弱い立場に立たされる。星野氏は、自分の専門性と言葉の上での優位性を活かして、彼らのために少しでも力を尽くしたいと考えている。(編集KM)

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