ネコが宋代の人々の暮らしを再現したイラスト集が話題に―中国

人民網日本語版    2019年9月7日(土) 20時20分

拡大

ペットとしてネコを飼うのが現在、大流行中の中国。ではそんなネコたちが宋代の人々の暮らしを再現したらどんな風になるのだろうか?このほど出版された「吾輩は宋代の猫である(吾輩宋朝猫)」は、そんな想像をイラスト化してくれている。

ペットとしてネコを飼うのが現在、大流行中の中国。ではそんなネコたちが宋代の人々の暮らしを再現したらどんな風になるのだろうか?このほど出版された「吾輩は宋代の猫である(吾輩宋朝猫)」は、そんな想像をイラスト化してくれている。このイラスト集には、田舎や街中、春夏秋冬の人々の生活、民間の風俗、習慣のほか、文人や雅な人々、朝廷の君臣など、「清明上河図」や「東京夢華録」で描かれている様々なシーンに登場する人物を全てネコで描いている。中国新聞網が伝えた。

ネコたちは、宋代の人の衣装を身にまとっているほか、さまざまな仕事をしている。その行動は人とほとんど同じであるものの、爪をなめるなど、ネコ独特の習性も描かれている。

宋代の人と同じく、このネコたちも、春になるとピクニックに行き、夏になるとハスの花を鑑賞し、秋になると山に登り、冬の夜になると温めた酒を飲む。イラスト集では、旧暦の8月15日前後に、大潮になり、波立つ河川・銭塘江で、旗を持って、大はしゃぎしているネコたちが描かれている。

銭塘で遊ぶネコ

現在、私たちは「清明上河図」を通して、宋代の街中の様子を知ることができる。そこに描かれている川には船が浮かび、川辺には飲食店や茶屋、商店などが並ぶ。「吾輩は宋代の猫である」でも、ネコたちが忙しそうに往来し、活気づいている川辺が描かれている。そこでは、間もなく到着する船の上で荷物を下ろす準備をしたり、すでに到着した船から荷物を下ろしたり、それを背負って運んだりと、ネコたちが忙しそうに働いているほか、船で運ばれてきた品物に興味津々のネコもいる。

船から荷物を降ろしたり、運んだりと忙しそうに働くネコたち

宋代、街中には商店がたくさん並び、夜市もあった。ランプが灯され明るい夜市で、人々は飲食店や茶屋に出入りしたり、街中をウロついたりと、大変にぎやかだ。

夜市

一方で、宋代の田舎には商店はほとんどなく、商品を肩に担いで売り歩く「担ぎ売り」がいた。

頭に大きな鳥の羽や旗をさしているこの「振売」のネコは、小さなシンバルを敲きながら、凧やでんでん太鼓、茶、茶碗、ほうき、裁縫道具、野菜、果物などが入ったかごが吊るされた天秤棒を担いで田舎町を歩いている。

「振売」ネコ

宋代の詩人・陸游は、「兒童の冬學比隣を鬧がす 案に據る愚儒却って自ら珍とす(子供たちが冬季の塾へ行くというので、隣近所はにぎやかだ。机を前にして座った先生は、能力もないのに、えらそうな顔をしている)」と、子供達が真剣に授業を聞いていない状況を詩の中で詠んだ。「吾輩は宋代の猫である」では、先生が教科書を枕にして机に伏して寝ている間、ネコたちは、本を破ったり、じゃれあったり、けんかをしたり、木に登ったり、さらに、寝ている先生の絵を描いたりと自由気ままに時間を過ごしている。

田舎の学校で自由気ままに時間を過ごすネコ

宋代には、官僚登用試験の合格者発表現場で、自分の娘婿を探すというのが流行した。

官僚登用試験に合格した書生たちは、高い社会地位が約束されている。そのため、裕福な男性は、自分の娘をそのような人物と結婚させようと躍起になり、登用試験合格者の名が張り出されるその場で合格者に「アタックする」というのが最も手っ取り早い方法となり、時には一人の合格者をめぐって熾烈な争奪戦が繰り広げられることさえあったという。

登用試験合格者に猛アタックするネコたち

宋代の文化人たちは、一緒に集まって、詩を詠んだり、絵を描いたり、楽器の演奏を楽しんだり、学問について意見を交わしたりし、そのような集まりは「雅集」と呼ばれていた。「西園雅集」は、そんな宋代の雅集を描いた名画の一つだ。文化人のネコたちも、字を書いたり、絵を描いたり、楽器を演奏したり、茶を飲んだりと、優雅に時間を過ごしている。

西園雅集

宋代にも、娯楽イベントが開催されていたのは興味深い。例えば、皇帝の庭園・金明池では、春の3月になると一般開放され、いろんなものが売り買いされたり、寄席演芸が催されたりと、とてもにぎやかになった。

ボートレースに参加するネコとそれを観戦するネコたち

宋代、「相撲」が人気のスポーツだった。なかでも女子相撲が注目を集めていた。

メス・ネコ力士の対戦を食い入るように観戦するネコたち

その他、妻がライオンのように吠えるのを聞いて、呆然とし、もっている杖を落とすという、「あばずれ女」という意味の四文字熟語「河東獅吼」のストーリーもネコで描かれている。ある飲食店で、妻のネコが鋭い目つきで棒を持って立っており、その前には妻に怒られてしょんぼりした顔の夫のネコが座っている。それを見ている周りのネコも目を丸めるなど怯えており、止めたくても、怖くても止められない様子だ。

河東獅吼

また宋代は、男性が花かんざしをするとい習慣ができ、それが最も流行した時代。宋の皇帝は、官僚に花をプレゼントし、頭に挿すよう求めていたというおもしろいエピソードもある。詩人の楊万里は、「牡丹芍薬薔薇朵、都向千官帽上開」と詠んだ。この頭に花かんざしをさしたオスネコ、とってもかわいいでしょう?

花かんざしを頭に挿したオスのネコ

このイラスト集は、単に宋代の絵に登場する人をネコに変えただけというわけではない。

作者である瓜几拉さんは、「型どおりに人をネコに変えただけなら、ネコの仮面をかぶった人になってしまう」とし、上記のシーンは全て「ネコが演じている」という設定にしているのだという。つまり、瓜几拉さんがメガホンを取った「ネコのドラマ」で、「ネコの習性やネコにできる動作を考慮し、それらを歴史の資料と結び合わせて、『ネコの世界』を作った」のだ。

そして、「ネコが茶屋で茶を飲む時は、人と違い、イスの上に伏せ、それを舐めるように飲む。ネコのけんかも、人のけんかとは違う。それもネコという観点から描いた」と説明する。

イラスト集を作成する前に、瓜几拉さんは、ネコのエキストラ100匹、「裏方役」のネコ、「サポート役」のネコなどを募集した。

「『主演』は、自分と友人の7~8匹のネコ。それらのネコの性格を、私はよく知っているので、どんな役がぴったりかも分かっている」。瓜几拉さんは、「ネコは人と同じで、一匹一匹個性が異なり、たくさんのネコが集まると、おもしろいエピソードもできる」と話す。

また、「けんかをしたり、なめ合ったり、用を足したり、地面に寝転がっていたりと、ネコはどんな時もとてもかわいい。ネコの絵を描いているのはもちろんそれが大好きだから。でも、一番好きなのは、ネコを通して、人間のいろんな姿を描くこと。作品の中でネコや人を通して何かを表現しているだけだ」と説明する。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携