<日本人が見た中国>不払いに遭い黒字倒産寸前に陥った―現金を見るまでは安心ができない!

Record China    2013年9月4日(水) 16時16分

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利益は出ているはずなのに、どうも毎月の資金繰りが苦しい。日本でも会社を経営していると、こんな状況に陥ることもあると思う。しかし、中国で会社を経営する場合には、顧客から期日通りに代金を払ってもらっているかどうか、再三の確認をしたほうが良い。

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利益は出ているはずなのに、どうも毎月の資金繰りが苦しい。

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日本でも会社を経営していると、こんな状況に陥ることもあると思う。しかし、中国で会社を経営する場合には、顧客から期日通りに代金を払ってもらっているかどうか、再三の確認をしたほうがよい。私の会社も調べてみると案の定、期日を過ぎても払ってもらっていない代金が月の売上高の3カ月分にも上っていた。これでは資金繰りが苦しいはずだ。

さっそく、財務担当者が先方の会社に連日にわたって支払いを督促する。しかし、「払いたいけれど、担当部長が休暇中で決裁が取れない」「社長が出張中でいない」など、のらりくらりとかわされる。相手も「払わない」とは絶対に言わない。なぜなら「払わない」と言ってしまえば、万一裁判に持ち込まれたときに、さすがに100%負けるからだ。敵も手なれたものだ。

そんなことを数カ月繰り返した後、ようやく“数カ月間の出張から帰ってきた”先方の社長とアポイントを取ることができた。社長は、一言でまとめれば「心の底から払いたいのだけれど、払うためのお金がなくて今は払えない」という意味のことを、言い方を変えながら何時間もとうとうと語り続けた。そして我々がどうしても諦めないことが分かると、我々が作った返済スケジュールの上に、社印を押してくれた。

大変なのはそれからだった。その日を境に、その会社からのオーダーが一切なくなってしまったのだ。その会社は当社の欧米人向け海外引越業務では最大の顧客だったので、翌月からは売り上げが激減してしまった。おそらく、口うるさいことを言ってこない別の会社と取引を始めることにしたのだろう。

…ということで、一部売り上げが激減してしまったが、あのまま代金を払ってもらえず、売掛金が膨らみ続けたら、当社は損益計算書上は利益が出ているのに、資金繰りが立ち行かなくなって倒産する、いわゆる黒字倒産の憂き目にあっていたであろう。そう言った意味では、同社から切り捨てられてかえってよかった、という見方もできる。

日本にいたときには、顧客企業が契約書通りの期日に代金を支払ってくれるのは当たり前だと思っていたが、中国では契約を結んだ後も、現金を見るまでは安心ができないことがよく分かった。今では“数カ月間出張に出ていた”先方の社長には、よい勉強をさせてもらったと心から感謝している。

■筆者プロフィール:柳田 洋

永豊有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。現在は中国での会社経営経験を生かし、中国で積極展開しようとしている日本企業の社員を対象に、講演・助言などのサポート活動を行う。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。

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