日本僑報社 2020年1月25日(土) 13時10分
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観光立国を掲げる日本の最も優れたセールスポイントは何か。江蘇師範大学の周夢[王其]さんは、高校の卒業旅行で初めて日本を訪れた時に体験した「日本の魅力」をつづっている。資料写真。
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観光立国を掲げる日本の最も優れたセールスポイントは何か。江蘇師範大学の周夢[王其]さんは、高校の卒業旅行で初めて日本を訪れた時に体験した「日本の魅力」について、作文に次のようにつづっている。
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もう2年経ったが、そのおじさんの笑顔はまだ記憶に新しい。あれは高校卒業旅行の時のことだった。大学受験で猛勉強した自分達へのご褒美として、日本に行くことを決めた。初めての海外旅行で、言葉が通じず、ちょっと心細かった。それに、東京の地下鉄が複雑すぎて頭が混乱してしまった。
ある日、あたふたと電車に乗って、乗り間違えてしまったことに気づいた。しまったなあと思いながら、隣に座っていた携帯を見ているおじさんに助けを求めた。
私は、勇気を出して「すみません」と小さな声でおじさんに言った。「はい、なんでしょう?」。おじさんが慌てて携帯をポケットに入れた。おじさんは、私の下手な英語の説明を聞いた後、私達の焦っている様子を感じ取ってくれたらしく、「大丈夫」と慰めてくれた。そして、自分の携帯を取り出して、乗換案内と路線図を調べてくれた。
顔をしかめながらつぶやいていて、英語の言葉を思い出すように一生懸命考えている様子だった。その後、「次の駅でこの電車に乗り換えたらいい」と言って携帯を私に見せた。おじさんの英語もそんなに上手ではないのに、一生懸命話してくれた。自分がうまく説明できないと心配したようで、身振り手振りを交えて話していた。
それに、何回もゆっくり説明してくれた。電車に冷房があって涼しかったのに、彼の額に汗が出てきた。「すみません」。彼は何度もハンカチを取り出して汗を拭いた。英語しか使えなかったので、会話は結構大変だった。しかし、おじさんは根気強く、ずっとニコニコしながら、丁寧に話してくれた。次の駅に到着してから、おじさんは念を押してもう一度「ここで乗り換えたらいい」と私達に声をかけてくれた。「お気をつけて!」と見送ってくれた。
おじさんが必死に教えようとしてくれた様子にすごく感動した。この他にも、1週間の間に、たくさんの日本人に助けてもらった。初めて日本へきた私にとって、日本人の優しさはとても魅力的に感じられた。私は南京出身で、日本という国は幼い頃からよく耳にしていたのに、微妙に距離感があり、謎めいた存在であった。しかし、この旅によって、たくさんの優しい日本人と出会って、その謎がすこし解けたような気がする。
もちろん、きれいな町や美しい景色など数えきれない魅力があり、本当に感心させられた。その一方で、国民こそが国の顔であり、彼らの優しさと笑顔は日本の最も優れたセールスポイントだと思う。美しい人こそ何より素晴らしい景色だ。
親切な人達の笑顔は今でもよく覚えている。いつでも思い出すと、心がぽかぽかと温かくなってくる。しかしその時は日本語がわからず、感謝の気持ちをちゃんと伝えたかった、もっと日本人と喋りたかった、と後悔した。日本語を勉強したいという決心をしたのはその頃のことだった。
大学に入った時、希望通り日本語科に入った。よく周りの人に「どうして日本語科を選んだの」とか「将来何をするつもりなの」などと聞かれた。私はただ日本のことが知りたくて、もっと日本人の優しさなどの魅力を周りの中国人に伝えたいのだ。中国人も日本人も友好を望んでいるのに、しかし、様々な原因で、民間の交流がまだ少なくて、相手のことをあまり知らない。結局今でも、日本人と中国人の間には誤解が数多く存在していて、日本人と中国人の関係を邪魔しているのである。これはとても残念なことではないだろうか。
だからこそ、私は中日友好の懸け橋になりたい。できるだけ、自分が見つけた日本の魅力を周りの中国人に知らせて、心の中の壁を壊したいと思う。
中国では「国の友好は国民の親愛にあり、国民の親愛は心の疎通にあり」という言葉がある。だから、中国人と日本人はお互いに分かり合うのが一番大切だと思う。日本の最も美しい景色として、日本人の優しさはその片鱗にすぎない。これからも、もっと日本の新しい魅力を探していきたいと思う。(編集/北田)
※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、周夢[王其]さん(江蘇師範大学)の作品「最も美しい景色 ―人―」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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