〈一帯一路実践談2〉1982年運命の出会い、新疆初訪問

小島康誉    2020年2月1日(土) 16時30分

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「一帯一路」の重要地域である新疆ウイグル自治区での国際協力実践のドラマ的出会いを紹介。写真は貨物列車で帰る筆者(右端)。

日中国交正常化の1972年広州交易会に参加し中国初訪問。その後も参加し、北京・上海・天津などへも出かけ、宝石などを買い付けていた。「一帯一路」の重要地域である新疆ウイグル自治区での国際協力実践のドラマ的出会いを紹介。

友好商社の堀尾氏が「新疆に良い宝石がある。行きませんか」と誘ってきた。新疆で良質の宝石が産出すると聞いたことはなく、断った。暫くして「ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・アクアマリン…を取り扱っている」と朱印が押された「中国工芸品進出口公司新疆分公司」の便箋が示された。「新疆はシルクロードの要衝として栄えた。交易で残された宝石があるかも」と考えた。NHK「シルクロード」放送の美しい風景を見てみたいとも思った。当時のウルムチは特別ビザが必要であった。

(ユーラシア大陸での中国新疆)

1982年6月、堀尾氏らと新疆のウルムチ空港へ降り立った。新疆工芸品公司の車窓からは道端で放牧されている羊や駱駝キャラバンが目に飛び込んできた。車は少なく、高いビルは皆無。案内されたのは解放軍が警備する迎賓館であった。

翌日、中々宝石が出てこない。「着いたばかりでお疲れでしょう」で終了。翌々日「早く宝石を見せて」と要求しても、「ご承知のように宝石は大変珍しく少ないです」と百も承知のことを繰り返すばかり。午後、ゴツイ木箱が運び込まれた。開けてビックリ!出てきたのは鉱物と言った方がよい低品質の物ばかり。「有るのか無いのか?この書類は何なのか!」と叫んだら、「我が分公司は出来たばかりで、取り扱い予定品です」と。返す言葉もなかった。

(交河故城の一角)

申し訳ないと思った工芸品公司がトルファンへ案内してくれた。交河故城(こうがこじょう)などを参観しての帰り、突然の大雨で通行止め。現在では1日10便もある北京便は週2便しかなく、その日にウルムチへ帰らねばならない。工芸品公司の●課長(●=龍のしたに共)が「夜中12時頃に貨物列車が通るはずだ、それに乗ろう」と。38年前の新疆で、外国人が貨物列車に乗るのは至難なこと。

塩湖駅での交渉は2時間に及んだ。彼はまず駅員を説得、次には手回し電話で鉄道本部を説得しつづけた。最後に彼は工芸品公司総経理へ電話「私の身元保証のため鉄道本部へ電話して」と。待つこと20分、解放軍から駅員へ電話「解放軍だ。工芸品公司の●と日本人4人はいるか」、「います」、「一行を貨物列車に乗せることを許可する」。直後に列車の警笛が聞こえた。雨の中、ホームに走り駅員が列車を停め、最後尾車両に乗せてくれた。解放軍が乗っていた。ウルムチ着は午前5時。迎賓館で仮眠し空港へ急いだ。この客中心の熱い心に打たれ、豊富な文化遺産に惹かれた。これが運命の出会いであった。

■筆者プロフィール:小島康誉

1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。

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