米教授の「武漢の研究室が新型コロナ発生源」説には証拠がない―仏紙

Record China    2020年3月16日(月) 18時40分

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フランスの夕刊紙ル・モンドは6日、フランシス・ボイル教授による「新型コロナウイルスは武漢市の研究所で開発されていた生物兵器」という説を分析する記事を掲載した。

フランスの夕刊紙ル・モンドは6日、フランシス・ボイル教授(米イリノイ大学国際法教授)がYouTubeチャンネル“Geopolitics & Empire”のインタビュー動画で語った、「新型コロナウイルスは武漢市の研究所で開発されていた生物兵器」という説を分析する記事を掲載した。11日、中国紙の環球時報が伝えた。

ル・モンドの記事はまず、「ボイル教授本人が、自身は実際には感染症専門家ではないことを認めている。しかし、わずか30分ほどのインタビューの中で、ボイル教授は時代遅れな専門知識、混乱した言論、陰謀論的な推測を混ぜ合わせ、武漢ウイルス研究所付属の武漢国家生物安全実験室(以下「武漢P4ラボ」)を『告発』した」と説明した。

そして、ボイル教授が「グーグルで中国にBSL-4の研究所(エボラウイルスなど最も危険な病原体に対応できる、世界保健機関の基準を満たした施設)はあるかを調べれば、武漢がすぐに出てくる」などと述べたことに言及し、「ボイル教授が続けて述べた推論はすべて正しくない」とした。

記事は、「ボイル教授は、武漢ウイルス研究所がSARSコロナウイルスを改変して致死性を高めたとしているが、この主張には武漢P4ラボがすぐに反論している。外国の専門家が行なった研究結果も武漢の反論を裏付けており、ラトガース大学の分子生物学者、エブライト教授は、新型コロナウイルスには人工的に改変された形跡がなく、意図的に放出された生物兵器である可能性は確実に排除できると見ている」と指摘した。

次に、ボイル教授は、米国、欧州、ロシア、中国、イスラエルのいずれのBSL-4の研究室においても、攻撃的なウイルス兵器の開発を目標としており、この他にBSL-4の研究室を作る目的はないとしている。これに対して記事は、「ほぼすべてのBSL-4の研究室は民間施設で、致死性または感染力が最も高いウイルスを研究し、治療法を探している。このほどの新型コロナウイルスの流行の中で、武漢ウイルス研究所は新型コロナウイルスの遺伝子配列の取得やウイルス株(ワクチンの製造などのために人工的に培養したウイルス)の同定など、ワクチンと治療薬の開発に有益で重要な一連の成果を出している」とした。また、「武漢P4ラボがかつて(ウイルスを)流出させた」という主張も誤りとし、「これはボイル教授が中国の別のレベルの研究室と混同して述べたものだ」とした。

続けて、ボイル教授は「BSL-4の研究室の役割は、遺伝子工学を通じて攻撃的な生物兵器を開発することだ」と主張したが、記事は、「この主張を裏付ける証拠がない」とし、「今までどの国もウイルスを攻撃的な兵器として使用できていない」と反論した。

また、ボイル教授は「中国の科学者がカナダの研究室から新型コロナウイルスの原料(ウイルス株)を盗んだ」「武漢P4ラボはWHOの指導を受けている」などと述べているが、記事は「これらはすべて暴論だ」と強調。「武漢P4ラボ(の建設)は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行後に始まった、フランスとの共同プロジェクトだ。また、カナダからウイルス株を盗んだという説はすでにカナダ公衆衛生庁が公式に否定している」と説明した。

最後に、「今のところ、武漢の研究室が新型コロナウイルスの発生源であるという証拠はない。しかし、ボイル教授の発言は(新型コロナウイルスは中国が開発していた生物兵器だという)『陰謀論』をソーシャルメディアで広めた。研究者とネットユーザーは誤りに気付き、新型コロナウイルスの流行を武漢ウイルス研究所の責任とするいくつかの文章をすでに非公開にした」と結んだ。(翻訳・編集/毛利)

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