<羅針盤>31年目の「全国車いす駅伝大会」京都で3月開催=企業市民活動を喜ぶ―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年2月16日(日) 8時30分

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第31回目となる「全国車いす駅伝競走大会」が3月8日に京都市で開催される。都府県代表など26チームが参加。沿道や競技場を埋める地元市民の応援が、大会をさらに盛り上げる。

第31回目となる「全国車いす駅伝競走大会」が3月8日に京都市で開催される。都府県代表など26チーム(選手約200人)が参加。大会に関わる人数は総勢約5000人。協賛企業約120社からのボランティアも派遣される。毎年国立京都国際会館から西京極陸上競技場までの5区間21.3キロをつなぎ、熱い走りを見せてくれる。沿道や競技場を埋める地元市民の応援も、大会をさらに盛り上げる。

この大会は、全国の身体障害者の方が参加する車いすによる駅伝競走大会を通じて、障害者の社会参加の促進と障害者スポーツの振興を図り、さらには障害者の方に対する理解を深めることを目的に、1990年より京都で開催されている。大会は行政のバックアップの下、スポンサー企業、市民団体、ボランティアなどの協力によって運営され、今では「全国高校駅伝」「全国都道府県対抗女子駅伝」と並ぶ“京都の三大駅伝”として定着。オムロンは第1回大会から特別協賛させていただいているので、うれしいことである。

企業の活動は、多様なステークホルダーを含む社会との良好な関係があって初めて成り立つものであり、企業は社会を構成する一員として社会的責任を果たしていく必要がある。企業市民活動もその一環だ。

公益財団法人・企業市民協議会(CBCC)が行ったCSR(企業の社会的責任)をめぐる調査によれば、CSRの枠組みの中で社会貢献活動を再検討する傾向が強まっており、回答企業の約75%が「CSRへの関心の高まりが社会貢献活動に影響を与えている」と回答している。

真に喜ばれる企業市民活動を行っていくためには、資金面の協力だけではなく、確固たるビジョンを株主・社員・地域社会に示して共感を得る努力をすると同時に、社員のボランティア活動を支援・促進し、さらには行政や市民団体との協調姿勢を強めていくことが大切である。

取り組み分野も広くなっており、「貧困・飢餓をなくす」「すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をすべての人に」「ジェンダー平等の支援」「エネルギーを皆にそしてクリーンに」「働き甲斐のある経済成長」―など幅広く、扱う分野も増えている。

企業市民活動は、ややもすれば企業業績に左右され、業績が悪いと活動にブレーキがかかりやすい。しかし、こうした活動は継続性が重要であり、一過性のものであってはならない。それ故、なぜ企業市民活動が必要なのかをもう一度原点に戻って考え直し、苦しい中にも火を絶やさない工夫が必要であろう。

そのためには、確固たる企業理念を持ち、その理念を理解する多くの社員に支えられた活動にしていかなければならない。思い付きや他社との横並び意識で行われる活動では、社員から遊離した一部トップの考えだという批判が社員の間から出る。そうならないためにも、トップ以下の全社員が同じベクトルで動ける企業市民活動にしていきたいものである。

(羅針盤篇53)

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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