<直言!日本と世界の未来>日本経済に暗雲、GDP失速=官民は総力挙げ新戦略を―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年2月23日(日) 7時50分

拡大

昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は、市場の予想を大きく超える落ち込みとなった。新型肺炎の拡大で、今年1~3月期も2四半期連続のマイナス成長が現実味を帯びつつある。写真は東京・丸の内。

日本経済に暗雲が垂れ込めてきた。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は、市場の予想を大きく下回る落ち込みとなった。新型肺炎の拡大で、今年1~3月期も2四半期連続のマイナス成長が現実味を帯びつつある。「緩やかに回復している」としてきた政府の景気判断は、大きく揺らいでいると思う。

大幅マイナスの最大の要因は個人消費の落ち込みである。消費税の増税があった昨年10月以降、幅広い商品で、駆け込み購入の反動とみられる販売の減少が発生。内閣府によると、秋の大型台風や暖冬も追い打ちをかけ、台風で被災した店や工場の休業や冬物衣料などの売れ行き不振につながったという。

今年に入っても消費者の節約志向は強く、増税による負担増が大きく消費を減退させたと見るべきだろう。キャッシュレス還元など大掛かりな増税対策を実施したにもかかわらず想定以上の落ち込みになった。政府はこれまで、消費増税後の景気の落ち込みから短期間で抜け出し、プラス成長の軌道に戻るシナリオを描いてきたが、その実現は、今年1月以降の新型肺炎の拡大で見通せなくなっている。

すでに国内経済への打撃が広がっているのは訪日外国人客の関連分野だ。今年1月の訪日外国人客数は、前年同月比1.1%減の 266万1千人にとどまり、4カ月連続で前年同月を下回った。日韓関係の悪化を受け、韓国からの訪日客数が6割減と大幅に減少したことが響いた。中国で発生した新型コロナウイルス感染症による影響は、2月の訪日外国人客数統計から出てくるという。日本政府は2020年に訪日外国人客目標を4000万人と設定しているが、目標達成に赤信号が灯っている。

日本経済研究センターが民間エコノミストの試算をまとめたところ、新型肺炎の拡大が1~3月期の実質GDP押し下げ効果は、平均で年率0.46%分になるという。

問題が長期化すれば、中国向け製品の輸出・生産の低迷や、外出の手控えによる個人消費の落ち込みなどに波及する恐れもある。景気の腰折れにつながりかねず、日本経済の足をどれほど引っ張るのか、先が読めない情勢だ。専門家からは、2四半期連続のマイナス成長に陥る可能性を指摘する声も相次ぐ。

世界の主力メディアも、日本の経済の低迷を盛んに報じている。米ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で「消費増税、大失敗」と論評、英フィナンシャル・タイムズも社説で「アベノミクスは結果を出せず。次期首相に難題残す」と警告した。異次元金融緩和による日本銀行が株式を事実上購入しているため、日銀が上場企業の多くの主要株主になっている実態を指摘し「日本はユニクロの主要株主が日銀というエキゾチックな国」という表現も見受けられる。

景気後退を意味する2期連続のマイナス成長に陥る恐れがある。政府は厳しい現実を直視し、まず「緩やかに回復している」との景気判断を改めるべきだろう。官民は経済戦略の立て直しに向け一丸とならなければならない。まさに待ったなしである。

<直言篇110>



■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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