<直言!日本と世界の未来>新型コロナウイリス感染拡大、世界の株式市場を直撃―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年3月1日(日) 7時0分

拡大

新型コロナウイルスの感染が拡大し警戒感が高まり、世界の株式市場が暴落。経済の先行きに暗雲が漂っている。各国が一丸となってウイルス退治に取り組むよう期待したい。写真はマスク姿の人々(東京・渋谷)。

新型コロナウイルスの感染が拡大、経済への悪影響から、世界と日本の株式市場は危機的状況に陥っている。筆者は長年実業の世界に身を置いてきたが、このような疫病による市場直撃は経験したことがない。

感染拡大を背景に先週(2月24~28日)の米国金融市場は記録ずくめとなった。ダウ工業株30種平均は28日まで7日続落し、週間下落率は12%超。下げ幅は3583ドルと、リーマン・ショック直後の08年10月6~10日(1874ドル)を大きく上回って過去最大。週末28日のダウ平均は2万5409ドルと2019年6月4日以来ほぼ9カ月ぶりの安値に沈んだ。

世界的な株安の流れを受け、東京株式市場の日経平均株価も急落の終値は2万1142円と、2019年9月5以来の低水準。前週5業日連続で下がり、下げ幅は2200円超となった。

世界的同時株安は新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が停滞するとの懸念が一段と強まったためという。世界保健機関(WHO)は、感染拡大について、世界の危険度を「非常に高い」に引き上げた。投資家は経済への影響が読み切れず、狼狽し売りが加速しているのではないか。終息の気配が見えないコロナウイルス退治に世界が協力して取り組むべきであろう。

こうした中、世界景気の落ち込みは、我が国経済を直撃している。厚生労働省が発表した1月の有効求人倍率は前月比1.49倍と2017年5月以来の1.5倍割れとなった。新規求人数も2桁減で、政府が「緩やかに回復」という景気判断の支えとしてきた堅調な雇用情勢にも変調の兆しが表れてきた。消費増税後に落ち込んだ消費や生産も、持ち直しの期待が新型肺炎でしぼみ、下振れリスクが高まっているようだ。

総務省発表の1月の労働力調査でも就業者数が前月比25万人減る一方、完全失業者が12万人増えた。国内外で新型コロナウイルスの感染がさらに広がれば、今後も雇用情勢は当面改善しない公算が大きい。特に製造業向け人材派遣やアルバイトなどは既に弱さが目立つというから注意すべきである。

雇用以外の経済指標も停滞感が強い。生産や消費などの統計指標は相変わらずさえない。経産省発表の商業動態統計では小売業販売額が今年1月まで4カ月連続で前年割れが続いている。昨年10月の消費増税の影響自体は次第に和らぎ、マイナス幅は縮んでいたが、再び暗雲が垂れこめている。

コロナウイルス感染を巡り、政府が全国の小中高の臨時休校を要請したり、東京ディズニーリゾートをはじめとする各地の人気観光スポットが休止したりするほどの異常な状態に陥っており、当面は経済活動の縮小が必至。日本経済が1~3月期に2期連続のマイナス成長となる恐れがあり、官民が総力を挙げて、非常事態の打開に取り組むべきだ。

<直言篇111>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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