マスク外交が日本と中国の敵対を覆す―米シンクタンク

Record China    2020年3月12日(木) 7時50分

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米シンクタンク、ブルッキングス研究所は9日、「マスク外交:コロナウイルスはどのようにして中国と日本の数世代にわたる敵対を覆したか」とする記事を配信した。写真は名古屋駅前でマスクを無料配布する華僑華人。

中国紙・環球時報によると、米シンクタンク、ブルッキングス研究所のウェブサイトは3月9日付で、「マスク外交:コロナウイルスはどのようにして中国と日本の数世代にわたる敵対を覆したか」とする記事を配信し、次のように伝えている。

コロナウイルス危機により、マスクや他の医療用物資を一種のゼロサム地政学のゲームと見なして、自らの利益のために行動している国がある一方で、無私の精神でそれら物資を最も必要としている国へ提供し、「マスク外交」を展開している国もある。そうした新しい善意の交流は、日本と中国の間が最も顕著であり、しかもそれはとてもサプライズだ。

世界各地のコロナウイルスへの対応におけるコントラストはとても鮮明だ。中国は米国のけちくさい支援を批判し、日本は寛大な模範として認定された。

日本は、マスクや他の医療用物資を供与することで、長い間切断されていた中国への橋を再建した。これに応えて、中国の民間と政府も、自国が不安定な状況にある中で、日本に恩返しをした。

この相互の寛大さは、多くのオブザーバーに衝撃を与えた。日中間の根深い敵対がこれほど迅速に逆転することは想像できなかった。

コロナウイルスの流行に対する日本の積極的な反応は、日中関係の改善に向けた一連の出来事の最新のものだ。これはある意味、日本と中国の間の協力の増加と、日本政府と米政府の間の地表下での不満という、同時に存在する二つの軌跡の結果だ。

米中貿易戦争は、特に中国にとって、日本との間の経済的緊張を最小限に抑える強力な動機付けとなっている。安倍晋三首相は、日米関係の処理において難題に直面し、日本政府は予測不可能なトランプ米大統領に深い不安を抱えている。

一方で、日中の指導者はますます強い個人的な関係を築いている。中国は、2020年東京五輪の予定通りの開催に対する不動の支持者であり続けている。

日中関係のもう一つの心を落ち着かせる要因は、人的交流の増加だ。中国で学ぶ日本人学生の数は16年の1万3595人から18年の1万4230人へと増えている。日本を訪問する中国人観光客の数の増加は13年の130万人から19年の960万人へと驚異的だ。

日中関係の雪解けを示す多くの要因にもかかわらず、その雪解けが短命であるのか、または太平洋地域の政治的、経済的、戦略的な風景の持続可能な変化の最初の兆候であるのかを断言することは、現時点では不可能だ。しかしコロナウイルスは少なくとも、日中間の数世代にわたる敵対を緩和するという、少数のオブザーバーだけが可能だと考えたものを実現した。両国は、同じ公衆衛生上の危機に巻き込まれている。どちらの側にとっても、相互に有益な協力を停止することで得られる利益はない。

危機の浪費は恐ろしいことだとよく言われる。コロナウイルス危機において、米国はそのグローバルなリーダーシップの役割を放棄した。世界的な大惨事において、人類共通の信念を発して関係構築に投資する国は、次の世界秩序において最大の発言権を持つことになる。これが20世紀からの教訓だ。(翻訳・編集/柳川)

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