2020年3月23日、韓国・ニューシスによると、インターネットのメッセンジャーアプリTelegram（テレグラム）を利用し、未成年者を含む女性らを脅迫して撮影したわいせつ動画が流布された、いわゆる「n番ルーム事件」について、文在寅（ムン・ジェイン）大統領が断固とした捜査と徹底した根絶策の策定を指示した。

記事によると、文大統領は同日「児童、青少年16人を含む被害女性たちに、大統領として心からお見舞いの言葉を申し上げ、国民の正当な憤怒に共感する」と述べたという。記事は「今回の事件を大統領は、単なる女性問題ではなく人権の根幹を揺るがす深刻な問題だと認識している」と伝えている。

この事件に激怒した国民の声は、青瓦台（チョンワデ、韓国大統領府）の国民請願掲示板に寄せられている。今月18日に「n番ルーム容疑者（チャットルーム『博士の部屋』を運営し、わいせつ動画の製作・流布した容疑で逮捕されたチョ容疑者ら）の身元を公開し、報道陣の前に立たせてください」との題で書き込まれた国民請願には、5日間で220万人以上が同意した。これは過去最多数だという。

20日には「n番ルーム加入者全員の身元公開を願います」という請願も寄せられ、3日間で150万人以上が同意。この他にも、「博士（チョ容疑者）、会員、全員を処罰してください」「n番ルームでのチャット参加者もリストを公開し処罰してください」「事件の徹底捜査と処罰を求める」などの請願が殺到したという。20万人以上の同意があった請願には、青瓦台が1カ月以内に回答することになっているが、この事件に関する請願は、いずれも同意が20万人を超えており、合計すると400万人以上に達するという。

最初の請願が書き込まれたのが18日で、1週間も経たずに大統領が請願への回答の形でメッセージを発信したことは「異例のこと」といい、記事は「国民の怒りに迅速に応えるべきだとの判断からだとみられる」と伝えている。

文大統領は「n番ルーム事件加害者たちの行為は、1人の人間の人生を破壊する残忍な行為であり、請願掲示板にたちまち300万人以上の署名が集まったことは、このような悪質なデジタル性犯罪を根絶せよという国民、特に女性たちの絶叫として、重く受け止めている」と述べた。また、警察に対し「この事件を重大な犯罪であるという認識のもと、徹底的に捜査し、加害者らを厳罰に処すべきだ」「とりわけ児童、青少年に対するデジタル性犯罪については、より厳重に扱ってほしい」と要請。必要があれば特別捜査チームを設置することも指示した。また政府に対しても、「プラットフォームを移しながら悪性の進化を重ねてきた新種のデジタル性犯罪を徹底的に根絶するよう、策を講じてほしい」と指示したという。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「博士の身元だけじゃなく、加入していた26万人を全て公開すべきだ。でないと類似の事件が発生する恐れがある」「これは単なるエロ動画じゃなく犯罪だ。26万人のユーザーは、犯罪の現場を傍聴していたんだよ」「現行法を改めてでも、供給者、利用者、全員の身元を公開し、社会から葬るべきだ」など、怒りのコメントが殺到している。

また、「チャン・ジャヨン事件（女優チャン・ジャヨンさんが性的な接待を強要されたと主張するメモを残して自殺した問題）、バーニングサン事件（BIGBANG元メンバーV．Iが経営に関わっていたクラブ「バーニングサン」をめぐる性接待などのあらゆる疑惑が浮上した問題）、n番ルーム事件。政治に利用しようとせず、公正な捜査を」「経済は崩壊し、コロナは抑制できないし、マスクの値段や住宅価格も高騰している。ろくなことがないから、この事件について言及して『働いている感』を出してるんでしょ？」「自分の弾劾を求める請願は無視してるくせに」「文大統領が手を出した事件は、どれもうやむやに終わっている。今回もそうなるのではないかと不安だ」など、政府や文大統領への厳しい声も多数上がっている。（翻訳・編集/麻江）