武漢封鎖の日々つづった「方方日記」、英訳出版決定に中国国内で批判の声も―シンガポール華字紙

Record China    2020年4月12日(日) 22時0分

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10日、シンガポール華字紙・聯合早報は、武漢封鎖の日々をつづった「方方日記」を英訳して出版することが決定したが、これについて中国国内で批判の声が多く出ていると伝えた。

2020年4月10日、シンガポール華字紙・聯合早報は、武漢封鎖の日々をつづった「方方日記」を英訳して出版することが決定したが、これについて中国国内で批判の声が多く出ていると伝えた。

記事は、武漢市内に住む作家の方方(ファンファン)氏が、1月23日に武漢市が封鎖されてから3月25日まで、個人の日記の形で武漢市の様子をつづりネット上で発表していたと紹介。ハーパーコリンズとアマゾンが、方方氏の日記を英語に翻訳して「武漢日記」として8月18日に出版すると発表し、すでに予約販売が始まっていると伝えた

その上で、方方氏について、中国では著名な女性作家で、湖北省作家協会の主席を務めていると紹介。武漢が封鎖されていた期間中に60編の日記を投稿したが、その内容には「武漢市による新型コロナウイルス対策についての批判的な内容や反省」も含まれるが、当局は「方方日記」を完全に規制することはなく、中国の主流メディアも方方氏にインタビューを行うなどしていたと伝えた。

一方で、方方日記をめぐる論争はずっと存在していたと指摘。歯に衣着せぬ発言と勇敢に語るそのスタイルで、武漢外部にとっては貴重な情報源となっていたが、真実性に欠けているとの批判の声もあったとした。またこの日記について、「武漢での状況が深刻な時は前者の声が多かったものの、英語で出版されるとの情報が流れると、中国世論の態度は明らかに変わった」と伝えた。

記事はその例として、中国氏・環球時報胡錫進(フー・シージン)編集長が、「方方日記が中国で反響を呼んだのは、当時の情景とロジックによるのであり、これが米国や西洋諸国で拡散すると、それは普通のノンフィクション文学の交流ではなくなり、国際政治に利用される」との見方を示したことを取り上げた。

また、新型コロナウイルスをめぐり米中間で責任論が高まり、米国の政治エリートの中には中国に賠償を求める声がある中で、民族主義的感情の強い中国のネットユーザーは方方氏に対し、「米国のために援護射撃している」「売国奴」などと激しく攻撃しているとした。

記事によると、この問題について、北京航空航天大学公共管理学院の任建明(レン・ジエンミン)教授は、聯合早報とのインタビューで、「方方日記は国際社会が中国の責任を問う際の法的証拠とはなり得ないが、国際世論はこれを利用して中国を困らせることを勢いづかせる」との見方を示している。

任教授は、「一部の国はすでに中国に対して偏見を持っており、これに新型コロナウイルス対策での重大なミスが加わると、中国に責任を負わせようとするだろう。このような状況下で(方方日記を)出版するというのは、複雑な政治的要素を考慮しているのだろうか」とした。

さらに、「方方日記が大衆受けする方法で当時の武漢を描述したことは、政府系メディアの報道を補足するものとなったが、個人のミクロ的な視点は視覚障害者がゾウを触るようなもので、客観性かつ理性的に事実の全貌を反映することは難しい」とも述べている。(翻訳・編集/山中)

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