方向性を失った中国の建築物、目立つ過度な西洋化や奇抜化―中国メディア

Record China    2013年12月1日(日) 7時50分

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27日、中国の建築業界では過度な西洋化や奇抜化が進んでいる。

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2013年11月27日、南京でこのほど開催された「中国現代建築設計発展戦略ハイレベルフォーラム」で、中国工程院院士の程泰寧(チョン・タイニン)氏や崔●(ツイ・カイ、●=りっしん偏に「豈」)氏などが現在の建築界の現状を痛烈に批判した。北京晨報が伝えた。

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▼4カ月で世界一の高層ビルを完成させる計画

昨年、中国の建設会社「遠大可建科技」が湖南省長沙市で、世界一の高さのビル「天空の城(Sky City)」の建設を計画。202階建て、高さ838mの同ビルを、 わずか4カ月で完成させるとした。

建設の時間がこれほど速いとなると、プランデザインに充てる時間はさらに短くなる。同計画は結局実現しなかったが、どうして、これほどまでに工程を焦った計画が出たのだろう?単なる売名行為だろうか。同院の何鏡堂(ホー・ジンタン)院士は、「1つは模倣の氾濫。国外の美しい建築物や独創的な建築物を見ると、それを模倣したくなる。次に、シンボル化がある。現在、建築物には民族の特色が求められ、それを機械的に伝統文化のシンボルとしようとする」と指摘している。

▼小都市も海外の建築士を招聘

ここ20年、中国のランドマークのほとんどは外国人が設計したものだ。

南京市の東南大学などの機構が2013年に実施したある調査では、上海の建築物26棟のうち、香港の設計師が設計したものが3棟で、それ以外は全て西洋の建築士の設計だったことが分かった。

西洋の建築士を招聘する波は現在、大都市から小都市にまで波及している。そして、中国国外の建築士の招聘により、西洋建築の価値観や文化理念が街のあらゆるところで見られるようになっている。

中国建設部の元副部長である、中国建築学会の宋春華(ソン・チュンホア)理事長は、「『ホワイトハウス』や、『エトワール凱旋門』、『古代ローマ建築』、『イタリアンガーデン』などの影響を受けた建築物が各都市で見られる。これは理解できない情景」と非難している。

▼奇抜路線に走る都市の建築物

中国各地では最近、携帯をモチーフにしたビルやフグの形をしたモニュメント、小判にも見えるビルなど、奇抜な形状のビルが「突っ込み」を呼んでいる。一般市民は、その必要性に疑問の声を上げている。

宋理事長も、「世界一の高さを競うか、非常に奇抜かのどちらか」とし、「現在、ランドマークに対する見方の方向性が変わってしまった都市も多く、公共の建築物も中国らしさを失った。そして、虚栄心に満ち、建築物の『雑技』を演じているかのようだ。しばらく前までは、ラスベガス風やディズニー風が流行し、今はドバイ風、脱構築主義建築などが流行している。ある中部都市の文化センターは、全て非線形的手法を採用しており、全体が混乱している」と嘆く。

ある設計の専門家は、広東省珠海市の美術館の入札評価会を例に挙げ、「7プランのうち、4プランがねじ曲がった表面やラインだった。東部には、『東洋のドバイ』にしたいとまで言っている都市もある」と指摘している。

程氏は、「模倣建築や奇抜な形状のビル、大きさや西洋化を競う建築物、必要基準を超えた建築物がどうして出来てしまうのか。市民が疑問に感じて当然。これらの責任を全て建築士に押し付けるのは不公平。これら全ての発想と最終決定は往往にして各級の指導者が下している」との見方を示した。

▼奇抜な形状のビル

▽小判のようなビル

広東省広州市にある川、珠江のほとりに小判の形をした金色のビルが建っている。専門家は、「小判の形は『成り金』を連想させる」と指摘している。一方、同プロジェクトのチーフエンジニアは『玉璧』がモチーフであるとし、設計者はイタリア人としている。

▽フグ塔

今年9月に江蘇省楊中市で開催された第8回江蘇省園林(ガーデ二ング)博覧会の重要なシンボルとなった金に輝く「フグ塔」は、その名の通りフグの形で、同市の新たなランドマークとなっている。

▽携帯をモチーフにしたビル

最近、中国では雲南省昆明市にある携帯電話をモチーフにしたビルがメディアによって報道され、話題になっている。同ビルの窓は携帯のプッシュボタン、ガラス張りの最上階が携帯の画面に見たてられている。(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/武藤)

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