<直言!日本と世界の未来>新型コロナ禍、大国同士の醜い争いは見苦しい―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年4月19日(日) 6時20分

拡大

新型コロナウイリスが世界に拡大している。人類共通の敵であるウイルスに対し世界が協調すれば急回復する可能性があるが、残念ながら2大国米中の醜い諍い(いさかい)が続いている。

新型コロナウイリスは世界に拡大、人類の戦いが続いている。人類共通の敵であるウイルスに対し世界がワクチン開発などで協調すれば21年以降に急回復する可能性がある。困窮が続く家計や企業への追加支援もためらうべきではない。コロナ禍の終息後を見据えて、抜本的な景気刺激策も必要になろう。

IMF(国際通貨基金)は最近、「大恐慌(1930年代)以来最悪の景気後退を経験する可能性は極めて高い」とする見通しを発表した。今年の成長率は、米国がマイナス5.9%、ユーロ圏がマイナス7.5%、日本はマイナス5.2%。中国がプラス1.2%と増加するものの、世界全体ではマイナス3.0%となり、リーマン・ショック翌年のマイナス0.1%を大きく上回る落ち込みになるという。

この予測は、感染の封じ込めが成功し、今年の後半には、外出制限などの経済活動の抑制を解除できるようになることを前提としている。したがって感染抑止が遅れればさらに悪化するというから深刻である。

各国政府は現在、自国内の感染拡大の防止と、国民の生活を守ることに注力しており、他国のことまでなかなか手が回らないようだ。しかし各国が連携しなければ、この未曽有の危機を乗り越えるのは不可能だ。

コロナ禍はいまや地球を覆う災厄である。ところが、この深刻な危機との闘いを主導すべきリーダー国が存在しない。けん引役になるべき米国のトランプ政権は医療対策の一線に立つWHO(世界保健機関)への拠出金を止めると言明した。これは世界の混乱と憂慮をさらに深刻化させる暴挙である。拠出金をストップする理由は「(WTOが)中国寄りだからだ」という。折からの中国との覇権争いに加え、初動の遅れから米国が最大の感染国になった責任を転嫁したい思惑が透けて見える。

大口の資金源である米国が、感染症拡大の非常時に拠出を止めれば、今後の途上国での対応や、治療薬・ワクチンに関する調整を担う現場の足を引っ張りかねない。「米国第一」のため、多くの人命を危険にさらす措置は撤回すべきである。

中国政府も「米国は責任を果たせ」と反論し、感染初期の対応のまずさを覆い隠そうとしているように見える。中国も当初は米国の専門家の受け入れを断るなど対外的に開かれた行動をとったとは言い難い。未曽有の非常時に大国同士が醜い言い争いを続ける事態はあまりに見苦しい。

 

近年まで米中両国は、感染症対策で協調することの大切さを学んできたはずだった。2002年からの新型肺炎SARSの際、初動で出遅れた中国に、米国は専門家を派遣して支えたが、今回は米政府内ですら体制づくりが遅れた。経済摩擦を背景とした米中対立が尾を引いているのではないか。

こうした中、G20(主要20カ国・地域)の財務相・中央銀行総裁会議が先週、途上国の医療態勢の整備を支援するため、債務の返済猶予を決めたことは歓迎すべきことである。先進国だけでなく中国、インド、韓国、ロシアなどが加盟するG20 は、欧州諸国が過半を占め形骸化したG7(先進7カ国)より影響力が大きく、これからの世界をリードしていくことになろう。

感染拡大防止のためにいま、多くの国が外国からの入国を制限している。世界恐慌後、各国は関税引き上げやブロック経済化に走り、第2次世界大戦につながった。コロナウイリスとの闘いで国境管理が厳しくなり、各国の政策がさらに内向きになれば、国際協調を著しく傷つけてしまう。自由貿易の恩恵を受けてきた日本は、その危うさを率先して訴えるべきである。

<直言篇116>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。



■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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