上海自由貿易試験区、個人の海外投資を開放へ―中国

Record China    2013年12月5日(木) 17時31分

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2日、中国人民銀行(中央銀行)が発表した「金融による中国(上海)自由貿易試験区建設の支援に関する意見」では、自由貿易区内の企業および個人の国境を越えた取引に一層の便宜を提供することが打ち出されている。写真は上海市新天地。

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2013年12月3日、新京報によると、中国人民銀行(中央銀行)が2日に発表した「金融による中国(上海)自由貿易試験区建設の支援に関する意見」では、自由貿易区内の企業および個人の国境を越えた取引に一層の便宜を提供することが打ち出されている。規定に基づき、自由貿易区内で就業し、条件を満たした個人が、証券投資を含む各種の海外投資を行うことが認められる。また、自由貿易区にある外資系企業が、上海地域の証券取引所や先物取引所で投資や取引を行うことが認められる。

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▽自由貿易区の住民は適格国内機関投資家の制限を受けない

同意見は30条からなり、内容には資本項目の為替両替プロセスの推進、人民元の海外での利用の拡大、金利の市場化の推進、外国為替管理の改革の深化などが含まれる。

同意見の最大の注目点は資本項目の開放にある。同意見の規定によると、自由貿易区の居住者は人民元・外貨建て自由貿易用口座を開設して口座別の決済管理を実現し、条件が整えば、口座にある人民元・外貨を自由に両替できるようになる。自由貿易区で就業し、条件を満たした個人は規定に基づいて証券投資を含む各種の海外投資を行うことができる。自由貿易区内の個人商店は業務上の必要性に基づいて海外での経営主体に国境を越えて資金を貸出することができる。

国家外匯管理局の規定に基づき、中国国民が一年間に両替できる金額は一人当たり5万ドル(約510万円)までと決まっており、個人の海外での直接投資は認められていない。現在は適格国内機関投資家(QDII)と認められた人しか海外直接投資を行うことはできないが、承認プロセスは相対的に複雑で、時間も長くかかる。興業銀行の魯政委(ルー・ジョンウェイ)チーフエコノミストによると、同意見の規定は、自由貿易区で個人がQDIIの制限を受けずに投資を行えるということ、個人商店も制限を受けずに海外に貸出できるということを意味する。

▽中外企業の国内外投融資がさらに便利に

個人だけではない。国内・海外の機関による投資や融資への便宜も拡大された。同意見によると、自由貿易区で登録した外資系企業は、上海地区にある証券取引所や先物取引所で投資や取引を行うことができ、海外にある本社も中国の資本市場で人民元建て債権を発行することが可能になる。中国資本企業は海外での証券投資や金融派生商品(デリバティブ)投資を行えるようになり、また海外から人民元資金と外貨資金を都合できるようになる。

現在、海外の投資家が中国の株式や債権に投資したいと考えた場合、適格海外機関投資家(QFII)または人民元適格海外機関投資家(RQFII)の許可証と限度額を取得しなければならない。魯チーフエコノミストによると、自由貿易区に機関を設立した海外企業にとって、こうした規定はQFIIの限度額の撤廃を意味する。人民元建て債権を発行できるようになるということは、「点心債」(香港で発行された人民元建て債権のこと。市場の規模は人民建て債権市場全体の規模よりも小さい)が香港から上海へ移動するということだ。国内の機関に対しては、世界の子会社の資金を管理する財務センターを自由貿易区で設立することを認め、区外で煩瑣(はんさ)な外貨管理手続きをしなければならない現在の不便さを解消するという。

自由貿易区のプラン設計に関わったこともある上海財経大学世界経済貿易学部の陳波(チェン・ボー)副主任がこのほど述べたところによると、同意見の規定の一部はあいまいなもので、たとえば「自由貿易区内の金融機関や企業が海外から人民元資金を借り受けることを認める」とあるなどは、オンショアとオフショアとで金利が異なるため、利ざやリスクを生じる可能性がある。このため今後、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)と上海市関連部門が同意見に基づいて実施細則を制定し、第一線を開放し、第二線をしっかり管理することが必要になるという。(提供/人民網日本語版・翻訳/ KS・編集/武藤)

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