中国メディアが見た日本、相続税で格差縮小

Record China    2013年12月6日(金) 19時41分

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4日、一般的にいって遺産税には所得分配を調節する機能がある。日本は遺産税の実施で長い歴史があり、その基本的な目的は税収の増加と貧富の格差の縮小にある。実際の操作では徴収と減免措置を併用すると同時に、各層の利益に配慮している。資料写真。

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2013年12月4日、一般的にいって遺産税には所得分配を調節する機能がある。日本は遺産税の実施で長い歴史があり、その基本的な目的は税収の増加と貧富の格差の縮小にある。実際の操作では徴収と減免措置を併用すると同時に、各層の利益に配慮している。日本国内では社会の各層が遺産税に対してさまざまな見方をするが、全体としては受け入れており、遺産税を排斥するような現象はみられない。これは所得税と遺産税の制度が適切に実施されていることと関係がある。日本の遺産税徴収の具体的な方法には一連の問題もあるが、おおむね参考にする価値があるものだといえる。経済参考報が伝えた。

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▽税収増加と格差縮小

日本の遺産税は1950年に制定された「相続税法」に基づいており、これ以後は相続税と呼ぶことにする。同法では「相続税」と「贈与税」の2つの税目があり、贈与税は相続税を補完するものだ。贈与税を徴収しなかった時代には、日本人の財産は生前贈与によって継承され、相続税の支払いを簡単に免れることができたため、贈与税の規定が設けられた。

100年以上前の日露戦争の頃、日本政府は軍費を調達するため、1905年4月から相続税を徴収して税収の増加をはかることにした。

今の日本をみると、相続税の徴収は所得税の機能を補完し、富が過度に集中することを防ぎ、社会的な再分配を行うという側面が強い。日本人の多くが、豊かな世帯はより多く税金を納めるべきだと考えている。日本在住の中国人が創設した中国通信社の営業部の姜徳春(ジアン・ダーチュン)部長によると、日本の相続税率は欧州諸国より高いが、米国よりは低い。相続税の目的は2つあり、1つは税収を増やすこと、もう1つは格差を縮小することだ。現在の重心は当初の目的だった税収増から格差縮小に移っている。

日中創織協会久永事務所の澤田篤志代表の説明によると、相続税の税率は財産がどれくらいあるかによって決まり、財産があればあるほど税率は高くなる「累進課税」だ。日本では個人所得は一年単位で貧富の格差を解消するもの、相続税は世代間に生じた貧富の懸隔を解消するものとみなされている。日本維新の会は以前、「相続税100%」を掲げたことがある。富裕層が大量に消費し、貯蓄をしないよう促す政策で、各方面の注目を集めた。

▽累進税率は各層の利益に配慮したもの

日本の現行の相続税率は、1000万円までが10%、3000万円までが15%、5000万円までが20%で、徐々に高くなり、3億円を超すと50%になる。

澤田代表によると、2003年から、日本は税制改革を行い、相続税の基礎控除額を「5000万円+法定相続人×1000万円」とした。たとえば相続人が妻と2人の子の世帯の場合、基礎控除額は7000万円になる。相続する財産が7000万円までなら、相続税を納める必要はないが、7000万円を超えれば、超過した部分に相続税がかかることになる。

ある統計によると、日本人で相続税を納める必要がある人は5%に過ぎないという。このため日本政府は課税最低ラインを引き下げ、基礎控除額を「3000万円+法定相続人×600万円」とした。前述の世帯であれば、基礎控除額は4200万円に下がる。

日本の民法によれば、夫婦、子と両親の間には相互に財産を継承する権利がある。相続税の対象になるのは、動産、不動産、特許権、債権、現金、預金、有価証券、ゴルフ会員権、自動車、書画、骨董などで、生命保険、有職者が死亡した場合に一時金として支払われる退職金(弔慰金に相当する)、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産も対象になる。相続税の対象となる財産から債務や葬儀費用を差し引くことができる。

納税の方法は基本的に現金の納入だが、不動産、自動車、貴金属を税務署に物納して税金に充てることもできる。田中角栄元首相は巨額の財産を有していたが、その死後、娘の田中真紀子氏は相続税を支払うため、やむなく東京にある住宅の一部を税務署に物納した。

だが日本では、すべての財産相続で税金を納めなくてはならないわけではない。慈善事業を奨励するため、または人道主義的見地から、税金を納めなかったり減免を受けたりできるケースがある。たとえば有職者が死亡した場合に一時金として受け取る退職金や生命保険は、相続税納入時に「法定相続人×500万円」が控除される。宗教、慈善事業、学術、幼児教育、その他の公益活動に従事する個人などが相続した・贈与された財産は、相続税の免除を申請することが可能だ。

障害児教育に携わる「あいアイ美術館」の事業部の池内巴里部長によると、相続した・贈与された財産は、相続税を申請する前に、これを国、地方政府、公益事業を目的とする特定法人、特定公益信託に寄付した場合、相続税を納めなくてよいという。

▽贈与税を同時徴収

相続税に対し、日本社会にはさまざまな見方がある。富裕層は高額の相続税徴収に強く反対し、相続税のせいで家族経営の企業を代々継承することが難しくなっているという。中間層は自分とはあまり関係がないこととみなし、税率が高くなっても不満は出ない。姜部長によると、日本社会には「三代相続すると財産はなくなる」という言い方がある。祖父母の世代の財産が親の世代、子の世代へと引き継がれるうちに、相続税のためほとんどなくなってしまうことをいう。だが実際には、日本の家族企業は相続税のために消滅するということはなく、富裕層の子弟はやはり富裕層だ。企業のオーナーは早くから子の世代にリーダーの地位を譲り渡し、前倒しで相続税を回避する措置を取る。ひそかに大量の資産を現金に替えたり、海外に移住したり、生前に毎年少しずつ贈与したりする。

池内部長によると、墓地、墓石、仏壇、仏具といった祭祀のための道具は、日本では相続税を免除される財産だ。このため金の仏像を作って相続税を回避する人さえいるという。

姜氏によると、日本では相続税を徴収すると同時に贈与税も徴収している。こうすれば生前贈与によって被相続人の財産を移転することを防止でき、相続税徴収の目的をよりよく達成することができるという。

澤田代表は次のような見方を示す。国が相続税を徴収すれば、自身の努力や苦労によって財を成し、社会や国民経済に重大な貢献をした富裕層に対してはある種の不公平になる可能性がある。それと同時に、相続税徴収のコストも事前に計算する必要がある。(提供/人民網日本語版・翻訳/ KS・編集/武藤)

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