〈一帯一路実践談18〉1986年新疆大学奨学金設立 夢を4632人に

小島康誉    2020年5月23日(土) 16時20分

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1985年に新疆政府外事弁公室と新疆工芸品公司の案内で、中国重点大学のひとつ新疆大学を訪ねた。写真は1985年新疆大学を初訪問した筆者。

一帯一路」は経済の道、政治の道であると同時に文化の道、国際協力の道でもある。筆者は「シルクロード経済帯」の要衝である新疆ウイグル自治区で各種の国際協力を実践してきた。キジル千仏洞修復保存協力・日中共同ニヤ遺跡学術調査・日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査などはすでに紹介した。今回は新疆大学最初の奨学金を紹介したい。

1985年に新疆政府外事弁公室と新疆工芸品公司の案内で、中国重点大学のひとつ新疆大学を訪ねた。今から35年前の新疆、照明も少なく校舎も立派ではなかった。しかし「明日の新疆を建設するぞ」と教師も学生も目が輝いていた。86年、小島奨学金を設立した。新疆大学で最初の奨学金である。人材こそ国家の宝と考えたからである。一人150人民元、当時の学生にとっては半年以上の生活費に相当した。以来、今日まで毎年継続している。


(2018年第33回小島奨学金受けて喜びの院生・学生)

授与式には、新疆大学党書記・学長・教授・学生・院生ら約250人が出席。来賓として新疆政府副主席が出席したことも。書記・学長の挨拶、受賞者名発表と授与、院生・学生代表挨拶、新疆政府副主席挨拶。続いて筆者が「大家好!」(こんにちは)に始まり、「自分のために、新疆のために、中国のために、そして世界のために、努力、努力、さらに努力を!」と日本語なまりの中国語で締めくくると拍手喝采である。

多民族地区である新疆ウイグル自治区には47民族が居住、受賞者は民族バランスも考慮されている。今では奨学金制度も増え、高額なものもあるが、「小島奨学金は、額は低いが栄誉は最高」と評価されている。授与式後にはサイン攻めにあうほど。金額は中国のインフレとともに順次増やし、ここ数年は一人3000人民元、学生生活費一カ月分程度である。まとめて拠出する財力がないため毎年やりくりして振り込んでいる。33年間で4632人に贈呈。各方面で指導者・幹部となった人も多数。「本当に助かった」と方々で聞く。元学長や教授陣多数も学生・院生・若手教師時代に受賞している。北京などで教授になった人も。


(授与式後にサイン攻めにあう筆者)

筆者が使用している頭陀袋(ずだぶくろ)はボロボロ。歴代学長が頭陀袋を持ち上げ「学生諸君、これを見よ。小島さんは節約している。彼の大きな愛に学ぼう」と話すと涙する人もいるほど。2015年には「小島奨学金30周年記念大会」が開催された。記念DVDやリーフレットが制作されるなど熱情あふれていた。契約はこの年までだったが、新疆ウイグル自治区成立60周年祝賀の一環で、5年延長・増額した。5年と限ったのは、老化と金欠のため。協議書に「小島康誉が死去したら妻聡子が継続する」を付け加えた。

新疆大学は中国政府の巨費で大発展している。教授陣は約1900人、学生は約3万7000人。今年も9月下旬に贈呈予定である。大愛無疆!(大きな愛に境界は無い)

■筆者プロフィール:小島康誉 1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 書籍はこちら(amazon)

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