私たちの心をきれいにしてくれる……これが日本の新しい魅力!―中国人学生

日本僑報社    2020年6月30日(火) 22時20分

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近年、日本を訪れる中国人観光客の旅行スタイルや目的地がより細分化されていると言われる中、広東外語外貿大学南国商学院の呉曼霞さんはある「珍しい場所」を訪れた時のことを作文につづっている。

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近年、日本を訪れる中国人観光客の旅行スタイルや目的地がより細分化されていると言われる中、広東外語外貿大学南国商学院の呉曼霞さんはある「珍しい場所」を訪れた時のことを作文に次のようにつづっている。

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ある日の会話の授業中、日本人の先生は学生に次のような質問をした。「皆さんはもし日本へ行ったら、まずどこへ行きたいですか」これに対して学生は、東京タワー、北海道、富士山などと一人ずつ自分が行きたいところを答えた。「じゃ、呉さんは?」と先生が私に聞いた。私は、「和歌山のある駅の猫の駅長を見に行きたいです」と答えた。

私の答えはクラスのみんなに笑われてしまった。日本には猫の駅長がいるということ自体、あまり知られておらず、どうして日本まで行ってわざわざ猫を見るんだと考える人もいたかもしれない。もちろん、日本の有名な観光地は素晴らしいと思うが、私にとっては、猫の駅長という日本ならではの駅文化がより面白く、魅力的に感じられたのだ。私はこの質問を機に日本の特別な駅文化の魅力を実感したいと強く思うようになった。

そして、そのチャンスはやってきた。それは日本の関西へ旅行に行った時のことだ。猫の駅長を見るという夢を叶えるために、朝8時から約2時間電車に乗り、大阪から和歌山の貴志駅へ行った。この貴志駅こそが、猫の駅長がいる駅だった。駅に着くと、駅内の壁には猫の駅長の写真や、特別委嘱状が飾ってあった。地面にも猫の駅長の貼り紙を見つけた。

また記念品を販売する店もあり、初代駅長のたまちゃんのために設けられた神社までも見つけることができた。これらを見て私は本当に驚いた。日本人にとって、この猫の駅長はペットやお金を得るための道具ではなく、尊重すべき本当の駅長のような存在なのだと感じた。

当時は二代目の駅長ニタマちゃんが自分の専用オフィスでぐっすりと寝ていた。その首には「ニタマ駅長」と書いてある名札がついていた。私が写真を撮ろうとした時、二人のおじさんの話が聞こえてきた。

「可愛いですね」

「そうだね。猫は貴志川鉄道の救世主として、神のように現れたんだ。たまちゃんの精神は和歌山電鉄や地方の公共交通の中で生き続けている。これからは地方鉄道や日本がもっと明るくなるように、頑張ってほしいな」

二人は話しながら、たま駅長の神社の方へ歩いていった。

私が元々貴志駅へ行ったのは猫の駅長に会うためだったが、この話を聞いて、日本人と動物の特別な関係に深く感動を受けた。現在のような経済が高度な成長を続けている時代、どんな分野においてもハイテクで新しいものが次々と現れてくる。そんな時代において、猫の駅長はまさに泥中の蓮のような存在であり、より特別な存在に感じられた。たった一匹の動物を駅長にし、地方鉄道や地域を盛り上げるというのは、非常に日本らしく、魅力的なことだと思う。

この猫の駅長は、乗車数が少なく赤字が続いていた和歌山電鉄の社長が考えついたアイデアだ。たまちゃんを駅長にしたことをきっかけとして、観光客の数は激増し、その年に猫の駅長が生み出した経済効果は11億円にも上ったそうだ。「たま駅長」を皮切りに、全国で猫の駅長が現れ、地域の観光客誘致につながった。そして同時に、日本全国にネコブームが広がっていったのだ。大都市にはネコカフェという店が作られ、繁盛していたり、猫が出演するCMが増えたりしている。さらに、猫が主人公のテレビドラマや映画なども次々と公開されている。

つまり、日本では猫の駅長をきっかけとしたネコブームが大きな市場を生み出している。そして、「ネコ文化」が「ネコ経済」を促進し、「ネコ経済」はまた「ネコ文化」を促進するという好循環が生まれているのである。これは日本独特の「ネコ経済学」ともいえる効果なのである。

感情のない冷たい機械に囲まれた現代社会において、猫の駅長はそよそよと吹く爽やかな風のように、私たちの心をきれいにしてくれる。このような魅力こそが、日本の新しい魅力なのだと、私は考える。(提供/日本僑報社・編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、呉曼霞さん(広東外語外貿大学南国商学院)の作品「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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