〈一帯一路実践談29〉日本と中国 近くて遠い、遠くて近い

小島康誉    2020年8月8日(土) 16時30分

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中国、まして新疆ウイグル自治区での国際協力のため、昨今の民族問題報道もあり、「なぜ?」「そんなところで!」との質問も度々受ける。写真は日中共同ニヤ遺跡調査隊「五星出東方利中国」錦発掘の瞬間。

中国、まして新疆ウイグル自治区での国際協力のため、昨今の民族問題報道もあり、「なぜ?」「そんなところで!」との質問も度々受ける。「変人」と言われ、「日本人か!」と詰問されたことさえある、と前回記した。これがアジアやアフリカ・南米の小国での国際協力なら「美談」と語られるだろうが、中国・新疆であるため「色眼鏡」で見られる。日本には「嫌中・反中派」、中国には「嫌日・反日派」もおられる。

日本と中国は外国である。当たり前のことであるが、頭では分かっていても、心から理解していない方も多いのではと思われる。日本と中国は近くて遠い外国、遠くて近い外国。両国は距離的には近い。しかし民族・歴史・体制・文化・思想などは遠い。筆者ら日中双方は互いに「外国」であると認識しながら実践してきた。「外国」である事例をあげてみる。

両国は漢字を使っている。しかし、意味の異なることも多い。「愛人」は中国では配偶者、「手紙」はトイレットペーパー、「汽車」は自動車、「花子」は乞食、「脚気」は水虫、「百姓」は庶民、「老婆」は妻、「麻雀」は雀、「猪」は豚……。髪も瞳も肌も同じ色、つい「同じように考えるのでは」と思いがち。

(漢族・少数民族共学の小学校で碁の授業)

日本では箸を横に置く、中国では縦に置く。両国民の国益意識にも大差がある。愛国教育ゼロの日本と濃密な中国の差である。相手国でなにか問題にぶちあたると、「日本なら」という日本人、「中国なら」という中国人がいる。外国では、自国流が通用しないのはごく普通のこと。

手許に数代の日本の駐中国大使の名刺がある。佐藤嘉恭・阿南惟茂・宮本雄二・丹羽宇一郎・木寺昌人・横井裕の各氏。「在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使」とある。中国の大使の名刺もある。武大偉・王毅・崔天凱・程永華孔鉉佑の各氏。その肩書きは「中華人民共和国駐日本国特命全権大使」。相手国を前に書く日本。自国を前に書く中国。ここにも両国民の特性の一端が現れているようだ。

(中国大使館・日中友好団体「新年会」で挨拶される孔鉉佑大使)

日中間で相互理解を難しくしている最大要因は「歴史問題」。それを象徴しているのが日中友好協会。その支部的存在として、日中友好をうたった団体が各地にある。世界中の国々が友好的であるのは当然のこと。日米協会や日独協会といった協会も種々あるが、都道府県レベルから市町レベルにまであるのは日中友好協会ぐらいであろう。さらには各業界にもある。例えば日中友好浄土宗協会とか。では中国ではどうだろうか。中日友好協会はあるものの、中国人民対外友好協会の一部といった感じで、各地には殆どない。

■筆者プロフィール:小島康誉

1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。

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