<コラム>中国の2020年の水ビジネス、業界の現状と今後の成長トレンド

内藤 康行    2020年9月1日(火) 10時20分

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中央政府および地方政府は、あらゆるレベルの給水問題を非常に重視し、給水施設の建設を都市インフラの建設と見なしている。写真は中国の農村。

改革開放以来、中国経済の継続的かつ急速な発展により、都市の給水能力の不足とその経済的および社会的発展への制限的な影響が徐々に現れてきた。中央政府および地方政府は、あらゆるレベルの給水問題を非常に重視し、給水施設の建設を都市インフラの建設と見なしている。

さらに、水ビジネス産業の工業化と市場化への改革は、水供給産業の発展を大きく促進させ、中国の各都市の水供給能力の急速な増加を可能にした。現在、中国の水供給能力は、基本的に経済的および社会的発展のニーズを満たすことができている。中国の都市汚水処理産業は、上水道産業と比べ依然として遅れている。

■水ビジネス市場の現状と今後の見通し

中国では水質汚染と水不足の問題が深刻化している。このため中国政府は近年、汚水処理産業の発展を支援し、汚水処理施設の建設を強化するための一連の政策を発表している。 近年、中国の都市汚水処理能力は飛躍的に向上しているが、都市の給水能力とは異なり、都市汚水下処理率は依然として低く、汚水処理産業を積極的に発展させる必要がある。 水ビジネス産業は、中国および世界の国と地域で、最も重要な都市の基本的なサービス産業の一つであり、日々の生産と生活を都市の水供給から切り離すことはできない。中国の水道業界の主要企業は、都市への給水を起点として徐々に発展し、その後、汚水および廃水処理が続き、水環境の修復、水源の保護、水の再利用等で全体産業チェーンをより完全なものに近づけようとしている。

さらに、中国では5億9千万人の住民は屋内で固形燃料を直接使用し調理をしており、4億7千万人が屋内の暖房に固形燃料を直接使用している、2億8千万人が安全でない飲料水を飲用している。国家生態環境部は、日常生活におけるクリーンで高品質なエネルギーの実現を加速させ、飲料水の安全性変革を加速する必要があると指摘している。

世界の水資源の総量は約13億8600万トン、そのうち鹹水が97.47%、淡水が2.53%を占めている。現在の技術条件では、地下水資源と鹹水を大規模に開発し利用することはできない。利用の容易な淡水は、淡水総量の約1%に過ぎず、全世界の水資源全体のわずか約0.026%しかない。

2015年の末、全国の都市で1943件の汚水処理施設が運用し、2014年から136件増加した。汚水処理施設の1日の処理能力は14028トンで、2014年比で7.2%増加している、排水管網総延長は54万kmとなり、2014年比で5.6%増となった。都市の年間汚水処理総量は428.8億トン、都市汚水処理率は91.90%で、2014年比で1.72%ポイント増となった。汚水処理施設の集中処理率は87.97%で、2014年比で2.03%ポイント増となった。都市の再生水の1日当り生産能力は2317万トンで、再生水利用量は44億5000万トンとなった。

■水ビジネス産業の今後の成長トレンド

2020年末には、全国のすべての県都市と主要村鎮(大多数の村鎮は未整備)に汚水収集と処理能力が形成されつつある。県都市と都市汚水処理率はそれぞれ85%と95%に達するとみられる。また管網関連敷設工事は強化される。2017年現在、直轄市、地方政府、個別計画の市街地では収集および処理されたすべての汚水は基本的に2020年末までに実現可能とされている。上下水道を中核とする中小の都市や鎮の環境産業は市場化として参入が始まっている。計画によると、県都市と重点鎮の給水施設(管網は含まない)建設の投資需要は540億元(約8196億円)に達し、農村飲料水安全プロジェクトへの投資需要は約1600〜1700億元(約2.4〜2.6兆円)と予測されている。農村汚水処理への投資需要は約2000億元(約3兆円)に達する。

現在、モバイル・インターネット、ビッグデータ、クラウド・コンピューティング、IoTなどの新しいテクノロジーは、従来の産業のあらゆる側面で融け込んでいる。インターネット・ファイナンス、eコマース、モバイル・インターネットは、従来の産業とインターネットの更なる統合を深めている。 「水環境汚染防止整備行動計画」の公布により、水ビジネス市場は新たな「熱いパターン」を示している。このような競争激化状況に直面し、水ビジネス企業は「インターネット+」時代を新たなビジネス機会として捉え、水ビジネス企業は「スマート化改革」が必須だ。

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