〈一帯一路実践談35〉次に主張 国際協力実践のヤマ場

小島康誉    2020年9月19日(土) 16時20分

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「一帯一路」は経済の道、政治の道であると同時に文化の道、国際協力の道でもある。写真は19.4.27第2回「一帯一路国際協力サミット」で挨拶する習近平国家主席〈百度より〉 。

2013年9月、習近平国家主席はカザフスタンで「シルクロード経済帯」構想を、10月にはインドネシアで「21世紀海上シルクロード」構想を提唱。合わせて「一帯一路」である。「一帯一路」は経済の道、政治の道であると同時に文化の道、国際協力の道でもある。筆者は「シルクロード経済帯」の要衝である新疆で各種の国際協力を実践してきた。その際に心がけてきた国際協力実践10カ条を拙いながら紹介中。

その4は主張。国際協力も一種の外交。外交とは「協調しながら主張する」ことであろう。先方の主張を聞いたのちに、主張すべきは大いに主張するが、相手の感情の機微をとらえることが重要と思う。相手の発言をメモし、趣旨を分析し同意できる事項から回答し、同意できない事項は婉曲的であっても明確にその旨を伝え、対案を主張した。

日本側が数名いる場合は、諸氏にそれぞれの考えを述べて頂いた。同意をえるには納得してもらうことが必要である。力ずくで押さえ込んだのでは長続きしない。例えば、協力するのだから、資金提供するのだからといった態度では一時的関係しかできない。

主張は事実に即して行った。事実を捻じ曲げての発言で主張を通すことは出来てもいつかは剥げ落ちる。重要事項は議事録を作成しサインを得た。準重要事項はメモを渡すなり、帰国後にFAXを送信し記録として残した。活動終了後には概要をまとめた。よって活動記録は膨大である。 

(張春賢新疆党書記との会見を報じる新疆日報)

共産党が強い力を持つ中国では、指導者の支持と指示が重要である。この「一帯一路実践談」では殆ど記載しなかったが、新疆党書記・政府主席・副主席とはあわせて100回ほど会見した。会見では先方発言に続いて、当方が会見への感謝・活動報告・計画を発言。事前にイメージトレーニングを行い、メモは一切見ない。聞くことはほぼ分かるので通訳なし、話すときは正確を期すために通訳を通した。筆者のこれまでの活動からほぼ100%支持発言で応じて頂ける。会見には各組織幹部が同席するので指導者の支持発言効果は大きい。TV各局や新聞各紙でも報道され、指導者の支持が一般の人たちにも広く認識される。おのずと活動しやすくなる。

(中国から長崎市へ贈られた平和を願う「乙女の像」)

主張を頑固に貫き通すと対立が生まれる。その最悪ケースが戦争。「主張しながら協調する」ことが必要と思う。ちなみに筆者名「康誉」は戦争と関係している。戦中生まれのため親が「健康に生き名誉ある死を」願ってつけた。戦争は悲惨だ。脳裏に空襲で燃え上がる軍事工場の真赤な空が焼き付いている。戦争は避けねばならない。そこにも国際協力の意義がある。

■筆者プロフィール:小島康誉

1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。

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