<コロナ水際対策緩和>ビジネス客・留学生・研修生の交流再開、喜ばしい=立石信オムロン元会長

立石信雄    2021年11月7日(日) 6時0分

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新型コロナウイルスの水際対策が11月8日から緩和される。留学生や技能実習生も入国可能となるという。これにより海外との人の行き来が活発化するのは喜ばしいことである。写真は東京・渋谷。

新型コロナウイルスの水際対策が11月8日から緩和される。経済正常化に向けビジネス目的の往来を中心に入国規制を段階的に緩和するもので、隔離時間がこれまでの14日間から3日間に短縮される。入国の多い観光客は対象外だが、留学生や技能実習生も入国可能となるという。これにより海外との人の行き来が活発化するのは喜ばしいことである。

今回の制限緩和に伴う潜在的な入国可能なビジネス客数は100万人を超えるというから前途に光明が見える。外国人留学生はコロナ前の19年に約12万人だったのが20年に5万人弱に減少。21年1~8月で8000人にとどまる。技能実習生も新たに入国が容認された。法務省などによると、日本に在留する技能実習生は19年に約41万人にまで増えたが、20年は37万人に減ったという。

日本に比べ世界各国は入国規制緩和で先行している。米英はワクチン接種者については待機措置を免除。オーストラリアも11月1日からシドニーを含む一部の州や都市でワクチン接種者には入国後14日間の隔離を免除した。主要7カ国(G7)の中で米英独仏など日本を除く6カ国は、日本からの入国者について、ワクチン接種証明やPCR検査の陰性証明があれば入国後の隔離を免除する体制に移行している。シンガポールも相手国との相互主義のもとで隔離を求めない方針を打ち出している。

日本の入国者数は新型コロナウイルス前に比べて約99%減少している。今回、緩和の対象外となった観光客などを受け入れるには、検疫体制の拡充と同時にワクチン・陰性証明書などの普及も課題になろう。コロナ感染は先行きなお油断できないとの懸念も根強いが、9月以降激減しているのも事実である。

日本政府は安全性に配慮しながら段階的に外国人の入国を認める方針で、待機措置の短縮は海外でのビジネスを終えて帰国する日本人にも適用するという。海外で新たな変異ウイルスが発生したときは再び速やかに対策を強化するとの条件も妥当だろう。

今年1月に海外での変異ウイルス流行を受けて入国制限が強化された。現在はいったん入国したことがある人や、日本人配偶者がいるなど「特段の事情」がある外国人に来日を限っている。厳しい水際対策も見直しの時期に来ていると思う。

今回の緩和措置には観光客は含まれないが、今後内外のコロナ感染状況や国際環境を勘案した上で、慎重に検討していく方針という。訪日客は日本にとって有力な成長戦略。観光業者、流通業者だけでなく産業界はこぞって待望している。

<直言篇180>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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