全力疾走する若いOL、毎日「盗撮」する社長…今どきの「ちょいユル会社」と評判に―新疆

Record China    2020年11月11日(水) 22時40分

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彼女は走る。全力疾走だ。次の日も走る。やはり全力疾走だ。そんな情景を社屋の上階から撮影し続けた動画が、中国で評判になった。

彼女は走る。全力疾走だ。次の日も走る。やはり全力疾走だ。かばんをもったまま、手を大きく振って走る。横断歩道も全力で駆け抜ける。中国で評判になった動画は女性を高い位置から見下ろす構図だ。女性はだんだん近づいてくる。撮影場所は新疆ウイグル自治区ウルムチ市内。女性の姿を毎日のように動画に収めていたのは、務める会社の社長だった。

とにかく全力で走っている。信号は守っているようだが、中国では車が右側通行で、赤信号でも右折はできる。つまり交差点で横断歩道を渡る際にも、完全には安心できない。動画を見た中国人からは「危なくないのか心配になった」との声も寄せられた。

女性はかなり若く見える。遅刻しそうになって走っているらしいとは見当がつく。ただ、どうして毎回、毎回走っているのか。視聴者の関心は、まずこのあたりに集中した。そこでメディアが「真相解明」に乗り出した。取材に対して女性は、とにかく朝が苦手で家を出るのが遅くなってしまうと説明。幸いにも家と会社が近いので、全力疾走で遅れを取り戻しているそうだ。

すると視聴者から「うらやましい」との声が出た。中国では都会の中心部は不動産価格が高騰し、遠く離れたマンション物件を買うしかない人が多いからだ。2000年を少し過ぎたころまでは、通勤時間が1時間程度にもなれば「遠すぎる」と感じる人が多かったが、今ではすでに当たり前という。

さらに、女性を撮影していたのは、勤務先の会社の社長と分かった。社長は女性の姿を眺め、撮影するために、毎日わざわざ、早めに会社に出ていたという。

この点については「今どきの会社なんだ」との指摘が出た。中国の会社社長はかつて、今よりもずっと「威厳」があった。社員に対しても厳しく接して、細かいことも指図した。しかし現在では、その様相が変わりつつあるという。

優秀な人材を維持しておくためには、給料をはずむだけでは不十分になってきた。仕事さえきちんとやっていれば、その他の事については目をつぶる場合が増えている。そうでないと、優秀な社員ほど、「この会社は不愉快だ」と思って、すぐに他の会社に移ってしまうからだ。

かつてだったら、自社の職員が毎日のように、勤務開始時間にぎりぎりで駆け込んでいることを社長が知れば、必ず厳しく注意したもの。今では、社長と職員の関係が「緩く」なったので、社長も面白がって眺めているのだ、と多くの人が感じたようだ。(翻訳・編集/如月隼人

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