「代行で太る」「代行でミルクティー」「代行で雪に字」がビジネスに、精神的消費が発展―中国

人民網日本語版    2020年12月1日(火) 18時50分

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2020年に入って早々、北京市では今年の初雪が降った。そしてこの雪とともに、「依頼人に代わって雪の上に字を書く」というビジネスも登場し、人気を集めた。

2020年に入って早々、北京市では今年の初雪が降った。そしてこの雪とともに、「依頼人に代わって雪の上に字を書く」というビジネスも登場し、人気を集めた。

ここ数年、「代行で雪に字を書く」、「代行で太る」、「代行でミルクティーを飲む」、「代行でジムに通う」、「代行で猫や犬をかわいがる」など、多種多様な「代行経済」が急速に成長し、中国人の精神的消費の発展がうかがえる。

■「代行で雪に字を書く」がビジネスに

北方に降った雪を、南方の人は画面越しに眺めることしかできない。そこで生まれたのが、「たったの5元(約80円)で雪の上に字を書きます」とネットで請け負うサービスだ。書く内容は定型パターンもあれば、依頼者が自分で考えたものでもいい。多いのは名前と時間で、祝福や告白のメッセージもよくあるという。

「南方の青年たちのために雪の上に字を書き、雪玉を作り、雪合戦をし、雪だるまを作り、告白の手伝いをする」というユニークなサービスは、心理的な穴埋めであり、南方の人々の雪への憧れを満たしてくれる。なんと言っても、初めて雪を見る多くの南方人にとって、雪の上に転がって自分のシルエットを雪の上に残し、雪にすっぽり包まれる感覚は、ぜひとも体験してみたいことなのだ。その新鮮な感じは、安いコストで実現できる体験型消費だといえるだろう。

従来の商取引とは異なり、雪の上に字を書くことに最終的に何か実体があるわけではなく、しかも一見すると営利目的ではないようにもみえる。サービス提供者の多くも形式的に料金を徴収しているにすぎない。ネットユーザーの中には、「北の人は、雪を見るよりも、南の人が雪を見ている様子を見るほうが面白いんじゃない?」とツッコミを入れる人もいる。そのため、こうしたビジネスは北方にいるサービス提供者と南方にいる買い手の双方向交流と言ったほうが実態に近く、双方は交流する中で地域への共感を深める。ビジネスであると同時に、インターネットを利用したソーシャルな活動だともいえる。

■「代行経済」で、怠惰も一種の「芸術的行為」に

「代行経済」の登場からしばらくたった今では、雪に関連したサービスは「字を書く」ほかにもたくさんある。ここ数年、ネットユーザーの中には「代行で雪だるまを作る」、「雪合戦のライブ中継をする」といったサービスを提供する人が出てきた。「代行で太る」、「代行でミルクティーを飲む」、「代行でジムに通う」、「代行で猫や犬をかわいがる」など多様な「代行経済」も登場し、ネット時代を背景とした消費ニーズの多様化と個性化を映し出している。閑魚(阿里巴巴<アリババ>傘下の不用品取引プラットフォーム)上では、900万人の若者が誰かの代わりに何かをすることを楽しんでいると同時に、800万人の若者が誰かに自分の代わりに何かをやってもらうことの楽しさを味わっている。

■「代行経済」が映し出す精神的消費の発展

代行経済には2種類ある。1つは物質的なニーズを満たすサービスで、即時配達や海外での代理購入などがこれに当たる。もう1つは精神的なニーズを満たすサービスで、代行して飲食をする、代行して会話をするなどだ。代行で雪の上に字を書くのは精神的消費であり、より厳密にいえば、「オンラインでの代行によって得られる精神的慰め」だと言っていいだろう。似たようなものに、今年の七夕に流行った「七夕ガエル」や、「働いている人がモーニングコールサービスを頼む」などがあり、これらはいずれも第三者に自分に代わって気持ちを表現してもらい、友人を慰めたり自分の心を奮い立たせたりするものだ。「今夜は月がきれいですね」という愛の告白に代表されるような伝統的な表現スタイルは、婉曲さや詩情を大切にする。一方、代行で雪に字を書くことは「オンラインの代行よって得られる精神的慰め」によって、ストレートに伝えるという粗野なやり方を回避しながら、確実である上に新鮮な感じもあり、社会への帰属意識や人とつながりたい気持ちも満たすことができる。

代行で雪に字を書くといった精神的消費の発展が映し出すのは、消費の高度化だ。人々はもはや物質的に満たされるだけでは満足しなくなり、精神的・文化的な体験も重視するようになった。これは社会の細分化された分業システムの進歩であり、暮らしにロマンの彩りを添えることでもある。

■力強い活力と強靱性を見せる「代行経済」

「代行経済」現象は訳もなく出現したのではなく、経済発展と社会の分業が必然的に生み出したものだといえる。その急速な発展と、関連する産業やサービスの種類の持続的な増加は、インターネット技術の発展と切り離せない。ネットは場所もニーズも異なる人々をすぐに結びつけ、「代行経済」の発展を技術面で支えている。「代行経済」は「ものぐさ経済」だという人もいる。人々のライフスタイルの変化によって生まれたものだからだ。もちろん、「代行経済」は「ものぐさ経済」と全く同じというわけではない。なぜなら、現在、人々の生活リズムは加速し、生活にかかるストレスが増大し、やりたい気持ちはあっても自分でできないことがたくさんあるからだ。こうした状況の中、「代行経済」が発展して、時間とパワーには限りがあるという困難を解決してくれるようになった。「代行運転」、「代行何でも屋」など、低効率で時間のかかることを誰かに代行してもらうことが可能になり、私たちはより多くの仕事を効率よく片付けることに集中できるようになった。

最近、国家発展改革委員会をはじめとする13部門が「新業態・新モデルの健全な発展の支援と消費市場の活性化による雇用拡大牽引に関する意見」を共同で通達し、「オンラインサービスの新モデルを積極的に模索し、消費の新市場を活性化させる」必要があると明確に指摘した。「代行経済」は一種の新経済モデルであり、これまで当たり前とされていた思考モデルを打ち破り、伝統的なメカニズムの制限を突破し、人々の生活の質を高め、多様化する社会のニーズを満たすと同時に、新しい職業の誕生も促した。新型コロナウイルス感染症の期間には、予防・抑制を行う必要性から、人と人との接触が大幅に減少し、このことが「代行経済」の発展にチャンスをもたらした。ある意味では、感染症によって新たな消費習慣の形成が促され、さまざまな「代行経済」スタイルが感染症期間に重要な役割を発揮したと言えるだろう。たとえば、「デリバリー」は外食産業が営業を続けるための保障となり、「代行で猫をかわいがる」とか「代行で旅行に出かける」といったサービスは、家に閉じこもらざるを得なかった人々の精神的なニーズを満たし、「代行で調達」するサービスは、「消費ニーズを満たす」と「人が密集する機会を減らす」という二重の目的を達成した。「代行経済」は力強い活力と強靱性を示し、人々の暮らしの保障と社会経済の回復にとって非常に重要な役割を果たしたと言えるだろう。(提供/人民網日本語版

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