Record China 2014年4月9日(水) 23時50分
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9日、日本による南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反するとしてオーストラリアが中止を求めた訴訟で、国際司法裁判所(ICJ)は、南極海での調査捕鯨を「科学的でない」と結論づけ、現行制度での調査捕鯨の中止を命じる判決を言い渡した。写真は鯨料理。
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2014年4月9日、日本による南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反するとしてオーストラリアが中止を求めた訴訟で、国際司法裁判所(ICJ)は3月31日、南極海での調査捕鯨を「科学的でない」と結論づけたうえで、現行制度での調査捕鯨の中止を命じる判決を言い渡した。しかし、日本が捕鯨活動を直ちに中止するという訳ではなく、「捕鯨」をめぐる大論争は今後も続きそうだ。人民日報海外版が報じた。
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▼嘘だった「科学調査」
今回の裁判の最大の争点は、日本による南極海での調査捕鯨が国際捕鯨取締条約第8条によって認められた科学的研究のための活動に該当するかだった。オーストラリアは、日本の捕鯨活動は科学的研究のためのではなく、実態は商業捕鯨でそれを禁じる国際捕鯨取締条約に違反すると主張していた。対して日本は、「合法的な科学調査」と反論していた。
判決で、ICJのペテル・トムカ裁判所長は、日本が年間ミンククジラ850頭、ナガスクジラ50頭、ザトウクジラ50頭を捕獲していることに関して、「調査の目的を達成するための妥当な量とは言えない」と指摘したほか、「日本は殺さずに調査する可能性を十分に検討していない」と日本の姿勢を批判した。
さらに、「日本は2005年から研究プログラムという名目で、約3600頭のミンククジラを補殺してきたが科学的研究の結果は限定的。データに基づく研究論文はわずか2件で、それも捕殺したクジラ9頭から得たデータ。捕鯨頭数と釣り合わない」と指摘した。
日本が提出している証拠だけでは、捕鯨を「科学的研究目的」と証明するには不十分なのだ。そのため、ICJは、日本の南極海での調査捕鯨を「科学的でない」と結論づけ中止を命じた。
▼「文化」の名目で経済活動
日本において、捕鯨は一種の伝統で、大規模な商業捕鯨には400年の歴史がある。第二次世界大戦以降の食糧危機において、鯨肉が多くの人の命を救った。そのため、日本人は鯨肉に対して、特別な思いがある。また、古式捕鯨発祥の地である和歌山県太地町では、捕鯨が一種の文化的シンボルとして深く根付いている。日本捕鯨協会も、「捕鯨は日本の歴史や文化と切っても切り離せない」と率直に述べている。では、捕鯨は単に「文化の継承」なのだろうか?答えは、明らかに「NO」だ。その背後には、経済的、政治的もくろみがかくされている。
捕鯨の産業チェーンは現在、日本沿海地域の柱的産業の1つとなっている。そのため、捕鯨活動が禁止されれば、失業や倒産、財政収入の減少などが問題になってしまう。これも、日本が捕鯨を断固として続ける原因の1つだ。
また、日本は「科学的研究調査」を名目に、捕鯨の範囲を拡大し続けている。あるアナリストは、「捕鯨活動が禁止されれば、排他的経済水域(EEZ)における漁業資源捕獲の便宜を失うことになり、本土の市場の不足分を補充するのが難しくなる」と分析している。
国際社会が日本の捕鯨に反対するのは今回が初めてではない。日本は常に批判を浴びてきたが、政治や経済、文化などさまざまな要素が絡み、その習慣を簡単に捨てることはできない。また、日本の菅義偉官房長官が指摘するように、国際捕鯨取締条約にも多くの抜け道がある。例えば、その第8条は科学的研究のための捕鯨を認めており、それぞれの国が捕獲する鯨の種類と量を自分で決定できるとしている。これを口実に日本は捕鯨を続けていたのだ。
▼ICJの判決の影響は限定的か
ICJの判決は日本の南極海での調査捕鯨中止を命じただけで、捕鯨の完全な停止にはまだ相当の時間が必要と見られる。制限を受ける漁業発展や東日本大震災以降の漁民の廃業危機、福島原発からの放射性物質による海洋汚染など、多くの要素が原因で、日本はそう簡単に捕鯨を諦めることができなくなっている。
米誌「タイム」も、「ICJの判決により、日本が全ての捕鯨活動を停止するというわけではない」と分析している。日本政府も、「鯨の漁業に対する影響を観測するため、データの収集が必要。その研究プログラムをもう一度立てなおすことで、日本は捕鯨活動を再開できる」としている。さらに、日本は以前から、国際捕鯨委員会(IWC)の脱退もほのめかしており、実際に脱退すれば、IMCの判決も日本に対して効力を持たなくなる。(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/武藤)
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