「鬼滅の刃」から「君の名は。」まで…日本のアニメ映画はいかにして「共通の記憶」を生み出すのか―香港紙

Record China    2021年3月6日(土) 12時0分

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中国英字紙チャイナデイリーは1日、日本のアニメーション映画が人々に「共通の記憶」を作り出しているとする香港紙・文匯報の評論記事を紹介した。

中国英字紙チャイナデイリーは1日、日本のアニメーション映画が人々に「共通の記憶」を作り出しているとする香港紙・文匯報の評論記事を紹介した。

記事はまず、映画「鬼滅の刃」無限列車編が興行収入ランキングで歴代1位となる大ヒットを記録していることに言及。ヒットの理由についてはさまざまな分析がなされているが、新型コロナウイルスが流行する中で、「令和時代の重要な社会現象になったことは間違いない」と論じた。

また、ベネッセが昨年、小学3~6年生7661人を対象に行った「憧れの人物」ランキングで「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎が1位に選ばれたほか、トップ10のうち7人が「鬼滅の刃」のキャラクターだったことを説明。例年、「お母さん」「お父さん」「先生」が上位を占めていることを考えると「非常に興味深い」と評した。

そして、日本の専門家からは「アニメは小説や漫画に比べて感情移入しやすく、自身の成長過程とシンクロした感覚を生じさせやすい」「アニメや漫画は時に生き方や考え方の参考になる。『鬼滅の刃』には現代人が求める生き方が描かれている」といった見方が出ていると紹介した。

記事は続いて、日本のアニメの歴史について説明。「日本の国産アニメの急速な発展は、1963年にフジテレビで放送が開始された『鉄腕アトム』から始まった。『鉄腕アトム』の成功は同業者のテレビアニメ制作参入を促し、瞬く間に子どもを中心としたアニメ消費市場を形成。70年代から独自のスタイルを模索し、80年代には初めての黄金期を迎えた。宮崎駿らがスタジオジブリを立ち上げ、センセーショナルな作品を次々と送り出し始めた年代でもある。90年代、日本のアニメは国際市場を席巻し始め、名実ともに『アニメ大国』になった。『ちびまる子ちゃん』、『ドラえもん』、『名探偵コナン』などのアニメは中国でも誰もが知っている」とした。

そして、日本のアニメ誕生100周年を目前にした2016年に「突如、大転換が発生した」として、新海誠監督による映画「君の名は。」の大ヒットを紹介。「『新世紀エヴァンゲリオン』が中学生の間で大流行してから20年。この間、SNSなどが急速に発展した。特に若い世代はメディアなどが作品を紹介することに抵抗感を抱き、自らの感覚で発見し、情報を発信するようになった。『君の名は。』はこうした方法で急速に人気を拡大したようだ」と論じた。

また、同作は「みんなが同じ映画を見るという一種の独特な消費形態を生んだ」と指摘。「『君の名は。』は大流行となり、映画を見ていないと同級生の話題についていけなくなった。人気ぶりは関連商品や舞台となった場所をめぐる『聖地巡礼』にも及び、その経済効果は計り知れない」とし、「うつうつとした中で生活する現代の若者たちは、『今この時』を満たす何かを絶え間なく探し続けているようで、『君の名は。』はまさにこの心理にぴったりと合致するものだった」とした。

さらに、同年に話題になったもう一つのアニメ映画「この世界の片隅に」にも言及。「まるでドキュメンタリーのような作風で、完全に現代アニメの常識を打ち破った」と評したほか、「君の名は。」と共通する点としてSNSを通じた口コミで観客を獲得したことを挙げ、「この2本の映画は共にテーマが重く、情報量が多いため、2回(以上)鑑賞するという現象が起こりやすいという見方もある」と説明した。加えて、「この世界の片隅に」については「反戦を題材にした作品のため、制作段階から個人や団体から多くの寄付(クラウドファンディング)を受けた。それと同時に、観客も世代を超え、アニメファンでなかった人たちも動員した」とその人気の背景を解説した。

記事は、「実は13年にスタジオジブリの『風立ちぬ』が公開されたころから、アニメ映画の年齢層が多様化する傾向は見られた」とし、「アニメ映画はもはや子どもやマニアばかりが見るものではなく、中年から高齢者まで、多くの年代で議論されるようになっている」と指摘。邦画の歴代興行収入ランキングでは1~5位、7~9位がいずれもアニメであることに触れ、「次々とセンセーションを巻き起こしたアニメ作品は、世代を超えた共通の記憶を作り出しているのである」と結んだ。(翻訳・編集/北田

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