2014年4月19日、数日前、中国・北京の繁華街を歩いていたところ、こじんまりとした店の前に人だかりができていた。のぞいてみると、「日本で大人気」とうたったチーズケーキ店だった。

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看板には「Uncle Tetsu」の文字。検索してみると、どうやら福岡で誕生し、世界各国で販売している「てつおじさんのチーズケーキ」という商品らしい。日本のスイーツは絶対においしいだろうという確信から、並んで買うことにした。

30分ほど並んでようやく購入。期待に胸をふくらませ、帰宅後さっそく食べると…あれ？幸せな気分に浸るはずが、味がどうもしっくりこない。食感はふんわりとしているが、玉子味の蒸しパンのような感じで、チーズの味がまったくしないのだ。胃ももたれ、数口で食べるのをやめてしまった。

「この味でチーズケーキを名乗るな！」という怒りとともに、日本の店なのにこのレベルなのかと残念な気持ちになった。ふと「中国人はこの味に満足しているんだろうか？」という疑問が湧き、中国のクチコミサイトをのぞいてみた。すると、意外なことにどの店も高評価。大人気のようで、何時間も並んでようやく買えたという書き込みがいくつもあった。

読み進めていくと、その中に1店舗だけ評価の低い店を発見。書き込みを見て、謎が解けた。私が買ったのは偽物の店だったのだ。本物の店では「てつおじさん」の中国語は「徹思叔叔」なのだが、このパクリ店では「徹」の字がぎょうにんべんではなく、さんずいになっていた。店のキャラクターも、本物の店では頭の右側にコック帽をかぶっているのに対し、偽物の店では左側になっているという徹底した（？）パクリよう。あまりに似すぎて、食べるまで気づかない人がほとんどだろう。

この店で買ってしまった中国人が「パクっておいしいならまだしも、パクった上にまずく作るなんて許せない！」と怒りの書き込みをしていた。間違えて買う人が増えれば、本家の評判を落としてしまう。パクリ店が早くつぶれることを願うばかりである。（原稿/TH）