Record China 2021年2月20日(土) 19時0分
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2020年の7月と11月に日本のスーパーコンピューター「富岳」が世界ランキングの首位を獲得したことを受け、韓国の科学技術分野の後退を問題視する記事が掲載された。資料写真。
2021年2月17日、韓国メディア・韓国経済が、韓国の科学技術分野の現状について記事を掲載した。
記事によると、2020年7月、スーパーコンピューターの世界ランキングにおいて、日本の理化学研究所と富士通が共同で開発した「富岳」が、これまで不動の1位だった米IBM社の「Summit(サミット)」を抜いて首位に立った。また同年11月のランキングでは、毎秒44京2000兆回という、「Summit」(14京8600兆回)の3倍にあたる計算速度を実現し、米国との差を大きく広げた。1位の座を奪われた米国は、毎秒100京回の計算が可能なエクサスケールのスーパーコンピューター「Frontier(フロンティア)」を発表すると公言し、欧州連合(EU)も富岳を超えるエクサスケールのスーパーコンピューターを2022~2023年に発表すると宣言しているという。
一方、韓国について記事は「これらの首位争いに参加できずにいる」としている。韓国科学技術情報研究院(KISTI)が保有する国内最高のスーパーコンピューター「ヌリオン」(毎秒13京9000回)は、2020年11月の時点で21位にとどまった。同年6月の17位から、5カ月で4ランク後退したという。KISTIのホン・テヨンスーパーコンピューティングインフラセンター長は、「ヌリオンの用途の40%は、分子動力学など化学・生物工学の分野」とし、「ノーベル化学賞を何度も受賞している日本の底力は、首位を獲得したスーパーコンピューターの性能とも無関係ではない」と分析しているという。
韓国の競争力が低下している原因について、記事は「近年、韓国政府による基礎科学分野への投資が後退している」と指摘。「2019年の政府の研究開発(R&D)の統計によると、数学・物理学・化学など5大基礎科学への投資額は2兆3774億ウォン(約2271億円)であり、2015年の2兆4738億ウォン(約2363億円)よりも4%減少している」とし、「同じ期間に総投資額が17兆5199億ウォン(約1兆6737億円)から19兆2597億ウォン(約1兆8399億円)へと10%増加しているのとは対照的だ」と説明している。
また「投資の対象となる研究課題の数が増加する中、限られた予算を平等に分け合う現在の構造も問題視されている」としている。韓国工学翰林院のクォン・オギョン会長は、「使われもしない技術の開発を援助する政府のR&D体制には問題がある」とし、「“コア特許”の創出などを評価し、予算に差を付けて配分する成果中心主義に切り替える必要がある」と指摘しているという。
さらに、記事は「基礎科学の競争力を高めるためには、論文が掲載された雑誌のインパクトファクター(IF)と論文数で研究者の業績を評価する、現在の基準を変えるべきという声も多い」とし、「論文が引用された頻度を掲載論文数で割ったIFは、すでに確立された分野でその論文がどれだけ活用されているかを判断するためのものであり、革新的な新技術を扱った論文を評価するには不適切な指標だ」と説明している。「数理化学」の韓国内パイオニアである中央大学化学科のソン・ジェヨン教授は、「基礎科学を定量化して評価する場合、革新的な技術を開発する研究者が生き残るのは難しい」とし、「宗教のように信奉されている、IFの代わりとなる評価基準を打ち立てなければ、韓国の基礎科学分野は永遠に発展できない」と述べているという。
この記事に対し韓国のネット上では「だから日本のことは甘く見ず、警戒するべき」「科学先進国の日本とは比較にならない」「法律ばかり優先して基礎科学をおろそかにするこの国は問題だ」「今の政権は全て後退してばかりだ」「この国は、工学部や韓国科学技術院(KAIST)を出たエリートも公務員を目指すような社会」など、さまざまな反応が見られた。(翻訳・編集/丸山)
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