世界的な半導体不足が「危機的状況」に、自動車メーカーに最も大きな打撃―英メディア

Record China    2021年3月25日(木) 5時20分

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英紙ガーディアン(電子版)は21日、すべての電子機器の「頭脳」である半導体の世界的な供給不足が昨年から着実に悪化していると報じた。資料写真。

英紙ガーディアン(電子版)は21日、すべての電子機器の「頭脳」である半導体の世界的な供給不足が昨年から着実に悪化していると報じた。中国国営新華社通信系の参考消息が23日、その内容を要約して次のように伝えている。

当初の問題は、新型コロナウイルスのパンデミックが発生した際に工場が閉鎖されたため、供給が一時的に遅れたことだけだった。しかし、生産は正常に戻ったものの、パンデミックに端を発した習慣の変化による新たな需要の急増は、現在危機に瀕していることを意味している。自動車メーカーによるハイテクを多用する電気自動車(EV)への投資、テレビや家庭用コンピューターの販売増、新型ゲーム機や5G対応携帯電話の発売など、これらすべてが需要をけん引している。

時価総額2兆ドル(約217兆円)の企業であり、半導体の世界最大の購入者であり、年間580億ドル(約6兆3000億円)を費やしている米アップルでさえ、供給不足のために昨年、iPhone 12の発売を2カ月遅らせることを余儀なくされた。

ミラボー・セキュリティーズのアナリスト、ニール・キャンプリング氏は、「チップがすべてだ。需要と供給の要因によって嵐が起きている。しかし基本的には、追いつけないレベルの新規需要があり、誰もが危機に瀕しており、悪化している」と述べている。

米フォード・モーターは最近、2カ所の自動車工場での操業を減らし、半導体不足により今年の営業利益が最大25億ドル(約2700億円)押し下げられる可能性があるとしている。日産はメキシコと米国の工場を一時停止中だ。米ゼネラル・モーターズも、今年の営業利益が最大20億ドル(約2170億円)押し下げられる可能性があるとしている。ソニーは先月、半導体の供給問題のため、次世代ゲーム機PlayStation 5(PS5)の今年の販売目標を達成できない可能性があるとした。

半導体危機の最も顕著な例は、アップルに次ぐ世界第2のチップ購入者である韓国のサムスン電子だ。世界第2のチップメーカーでもある同社は今週、供給不足のためにハイエンドスマートフォンの発売を延期する必要があるかもしれないとしている。キャンプリング氏は、「サムスンが560億ドル(約6兆円)の半導体を販売し、自社の製品に360億ドル(約3兆9000億円)を消費していることは信じられないことだ。自社の一つの製品の発売を遅らせる必要があるかもしれない」と述べている。サムスンの共同最高経営責任者(CEO)であり、モバイル部門トップのコ・ドンジン氏は、「チップの供給が限られている人の序列に『深刻な不均衡』がある」と指摘している。

自動車メーカーは昨年、車両販売が落ち込んだためにチップの注文を削減した。そして市場が回復して再注文を試みた時に列の後ろにいることに気づいた。世界の自動車産業全体で約370億ドル(約4兆円)相当のチップを購入している。キャンプリング氏は、「最悪の影響を受けたのは自動車メーカーだ。なぜなら、彼らは最後にパーティーに参加したからだ。アップルが年間560億ドルを費やして成長しているとしたら、誰への供給が優先されるかは明らかだ」と述べている。

チップ不足はまだしばらく続くと思われる。複雑な半導体製造工場が稼働するまでには最大2年かかる可能性があり、メーカーは1年足らずで2度目の大幅な値上げを進めている。キャンプリング氏は、「チェーン全体で価格が上昇している間、供給が追いついたり、需要が減少したりする兆候はない。これは一般の人々に転嫁される。車も携帯電話も値上がりし、今年のiPhoneは昨年より安くなることはないだろう」と述べている。(翻訳・編集/柳川)

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