人民網日本語版 2021年5月12日(水) 15時50分
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ここのところ、有名人の離婚ニュースがしばしば大きな話題となっているが、日本では「3人の元夫」をめぐるドラマが大ヒット放送中だ。写真は中国の離婚証。
ここのところ、有名人の離婚ニュースがしばしば大きな話題となっているが、日本では「3人の元夫」をめぐるドラマが大ヒット放送中だ。ドラマのタイトルは「大豆田とわ子と三人の元夫」。主演は松たか子で、中国のコミュニティサイト・豆瓣でもレビューが9.1ポイントと、好評を博している。
日本ドラマのおもしろさはその「視点」にあり、同じテーマでも、多種多様なストーリーが描き出される。「大豆田とわ子と三人の元夫」も斬新な視点から離婚をめぐるストーリーを描き、離婚や離婚経験者に対するこれまでの固定概念を覆している。そして、離婚は、惨めで悪いこととは限らず、離婚したからといって、「負け組」とは限らないというメッセージを伝え、「1人の女性と3人の元夫」という構図で、お決まりのパターンに全くはまっていないコメディに仕上がっている。そして、「離婚っていうのは、自分の人生に噓をつかなかったって証拠だよ」や「1人でも大丈夫だけど、誰かに大事にされたい」などの名言が次々飛び出し、ネットユーザーの間で話題になっている。
松たか子演じる大豆田とわ子は、ドラマの始めから明るくてユーモラスな性格だ。ある時、とわ子はいとこの結婚式に出席した際、口内炎ができていることに気付き、気になり始める。そしてニンジンを食べながらその痛みに耐えていたところ、ある女性が寄って来て、「田中さん?15年ぶり?元気だった?」と話しかけられる。
するとそこに、スーツ姿で白髪交じりの中年の男性が通りかかり、「佐藤とわ子さんだよね?相変わらず美人さんで」と話しかけられたかと思えば、ほぼ同時に別の女性から、「中村さん!中村とわ子さん!」と呼びかけられる。
知り合い3人に、異なる苗字で話しかけられ、とわ子は気まずそうな表情をしながらも、作り笑いをして挨拶する。
とわ子は、3度結婚し、3度離婚したため、どれも名乗ったことのある苗字で、誰も間違っていないからだ。とわ子の父親は、「花嫁の父を3回やっていますから」とし、「最初はサドゥンリィ(suddenly)、2回目はコメディ(comedy)、3回目に至ってはファンタジー(fantasy)だった」と開けっぴろげにとわ子の「黒歴史」について語るのだった。
そのような、コミカルな雰囲気の中、とわ子が「バツサン」であることを視聴者は自然と知ることになる。とわ子が3人の元夫と再会するのも意外なことがきかっけとなっている。とわ子は亡くなった母親のメールボックスを開こうとするが、パスワードが設定されていて開くことができなかった。母親が望んだお墓を建てるためには、生前に業者とやりとりしていたメールを見ないとわからない。しかしパスワードに設定されている「最初に飼ったペットの名前」は、とわ子自身が設定したものでも、母親が設定したものでもない。ならば元夫の誰かが設定したのだと考えたとわ子は、3人の元夫に会いにいくことにするのだった。
このように、とわ子が元夫と再会するきっかけとなったのは、感情的な葛藤からでもなければ、子供の親権をめぐる問題からでもなく、最初に飼ったペットの名前を知りたいがためだったのだ。
このようなとてもユーモラスで、多くの人にとって身近な要素が、このドラマの基調となっており、お決まりのパターンにはまっておらず、苦労や憎しみの伴う過去もなく、とわ子は元夫3人と気軽な雰囲気で再会している。「離婚」がテーマのドラマだからといって、必ずしもとげとげしい雰囲気でなければならない訳ではなく、このようにコミカルに描き出すことも可能なのだ。
中国のドラマでは、離婚した女性というと、固定のイメージがあり、家族に気を遣いすぎて、自分を見失ってしまっている女性か、または気が強くて夫の感情をおろそかにしている女性のどちらかだ。一方、とわ子はどちらのタイプでもない。
とわ子は、住宅建築会社の新社長であるものの、中国のドラマにありがちな気の強いバリバリのキャリアウーマンといった女性ではない。とわ子は、寂しがり屋で、落ち込むこともあり、部下から、「社長にカレーパンは失礼じゃない?」と配慮されると、「カレーパンを貰えないなら社長になんてなりたくなかった」と思うような女性だ。
とわ子の一番の「特徴」を挙げるとすれば、「かわいさ」だろう。そのかわいさは、いろんな経験をしてきた大人の女性にしか醸し出せない余裕と、自由さからきている。例えば、彼女は身なりにそれほど気を遣っておらず、ラフな服をオシャレに着こなし、高級ブティック街を歩いてみせる。また、元夫の皮肉に頭に来た時は、こっそりとコーヒーに塩を振りかけておきながら、なぜか結局自分で飲む羽目に陥ってしまう。また部下の設計案にミスが生じた際には、部下たちと一緒に徹夜で残業し修正する。そして、クタクタに疲れて家に帰る途中、不注意から工事現場の穴にはまってしまうのだ。でもそんな災難続きの日でも、とわ子はお風呂につかって歌を歌い、元気を取り戻す。
このように気ままに生きる女性であるほど、生き生きとしていて、現実味があり、人の心を揺さぶるパワーを秘めている。離婚した女性だからといって、必ずしも固定のイメージである必要はなく、彼女たちも生活を楽しみ、希望を持って生きることができるはずだ。
とわ子の元夫3人や元夫たちとの関係も、お決まりのパターンとは全く異なっている。現在放映されている4話までの内容の中では、3度の離婚の理由は明かされていないものの、元夫3人は皆、今もとわ子のことを気にかけていることが見てとれる。夫婦としての関係は終わったものの、その関係がギスギスしたり、一発触発の状態になったりはしておらず、とわ子は、安心して元夫のそばで寝ることもできる。そして、とわ子が落ち込んでいる時には、元夫から花をプレゼントされることもあるのだ。
とは言え、同作品は別に理想ばかりが詰め込まれた主人公「メアリー・スー」のように「元夫3人は今もとわ子を愛している」といったストーリーを描いているのではなく、とわ子と元夫3人の関係を通して、人と人の間の感情の可能性に迫っている。例えば、とわ子の3番目の元夫は元々、「自分は冷たい人間」と思っていたものの、とわ子と一緒に過ごした後、自分も誰かを幸せにすることができるということを発見する。そして、自分の生活を見つめ直し、自分を変化させ始める。また、とわ子も、離婚するたびに、自分がどんな人間なのかがはっきり分かり、自分らしく生きるようになっていっているのだ。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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