葛飾北斎の浮世絵めぐる日中の「漫画戦」…その影響力はバカにならない―中国専門家

Record China    2021年5月15日(土) 7時30分

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中国紙・環球時報は13日、葛飾北斎の浮世絵をめぐって日中の間で起きた騒動を「漫画戦」と表現し、その影響を甘く見るべきではないとする論評文を掲載した。

中国紙・環球時報は13日、葛飾北斎の浮世絵をめぐって日中の間で起きた騒動を「漫画戦」と表現し、その影響を甘く見るべきではないとする論評文を掲載した。著者は中国のグローバル化シンクタンク(CCG)研究員の陶短房(タオ・ドゥアンファン)氏。

日本政府が福島第一原発の汚染処理水の海洋放出を正式決定したことを受け、中国のイラストレーターが先日、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の中の一つである「神奈川沖浪裏」を基に描いた風刺画「神奈●沖波裏」(●は気の「メ」を「川」に。中国語でトリチウムを意味する)を発表、中国外交部報道官が引用して紹介すると、日本側も抗議し削除を求めた。また、その後、日本の漫画家・佐藤正明さんも同じ「神奈川沖浪裏」を基に巨大な中国船に日本や東南アジアの国旗を掲げた小型船が慌てる様子を描いた「戦浪外交(戦狼外交)」を発表した。

陶氏は「このような国と国のメディアを通じた特殊な漫画戦は、過去の長い歴史の中にも存在していた」と指摘。英国人や英国の国家像を擬人化した「ジョン・ブル」を例に挙げ、「1717年に創作された当初は、国内の政党や政治家を皮肉るためにのみ使用されていたが、1789年のフランス革命の勃発と、その後のナポレオン政権時代の英仏の対立によって、ジョン・ブルと英紙タイムズはパートナーを結成。トラファルガーの海戦をテーマにしたイラストでは、フランスの戦艦を昼食として表現し、ジョン・ブルが『食べ飽きた』とこぼすことでフランス海軍を蔑視する内容だ」と説明した。

そして、ジョン・ブルの際立った特徴として「自国側を正面から際立たせる一方、引き立て役であるフランスのイメージはこれでもかとおとしめられ、弱体化されていること」と指摘。「こうした自国側を際立たせ、プラスのイメージを形成するというスタイルはその後も広く使用されており、米国の『アンクル・サム』やフランスの『ガリアの雄鶏』はいずれも漫画戦の典型だ」としたほか、第2次世界大戦中に米国がファシストに対抗して大量にまいたビラのイラストや、民族衣装を着た各国の子どもを描いた日本の大東亜共栄圏のイラストも有名だとした。

陶氏は、「文字に比べて漫画の方が生き生きとしており、問題を具体的に鋭く表現することができる。現在、世界情勢は大きく変化しており、米中対立がエスカレートしているという状況下で、異なる方式の論戦の中で自らの主張を強化するという需要に順応した『烏合麒麟』(中国のCGイラストレーター、漫画家。時事問題などを多く扱う)のような新世代の漫画家が人気を博している。これもまた、ソフトパワーの一部と見るべきである」と主張した。(翻訳・編集/北田

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