亜洲週刊 2021年5月16日(日) 19時50分
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香港誌「亜洲週刊」は、「日本のコロナ第4波の背後、官僚の失策・医療崩壊の危機・神話の破滅」と題する記事を発表した。写真は同記事掲載誌の表紙。
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、「日本のコロナ第4波の背後、官僚の失策・医療崩壊の危機・神話の破滅」と題する、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。「亜洲週刊」は1987年の創刊で、中華圏をはじめとする世界各地の時事問題を幅広く取り扱っている。大きな関心を集める記事も、これまで数多く発表してきた。
記事はまず、「公衆衛生における全世界の優等生」と評されてきた日本が、新型コロナウイルス感染症対策では、失敗を繰り返したと主張。アジアで唯一、先進国としてG7入りしている日本が、感染症対策の成果ではアジア太平洋地区で最も劣っていることは「驚くべき」と評した。
記事は、感染第2波までは、日本は民衆の高度の自覚心と自制心、さらに公衆衛生上の良好な習慣により、感染症の拡大は最低レベルに抑えられていたと指摘。しかし、その後の推移については、例えば真の成果が出る前の感染第2波が終息したばかりの時期に、菅義偉首相と自民党の二階俊博幹事長が主導して「ゴー・トゥー・トラベル」や「ゴー・トゥー・イート」を発動したことなどを問題視した。記事は、多くの人々が遊びに出たり飲食したことが、第3波の爆発を誘発したとの見方を示した。
記事は、宝島社が朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の3紙の5月11日付朝刊に掲載した広告にも言及した。同広告は、第二次世界大戦末期の、竹やりを持つ子どもらの戦闘訓練を思わせる写真を大きく扱い、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される」などの文章を添えた。
記事は、日本のSNSではこの広告について「日本の人々の内心を表明した」などとする、強烈な反応があったと紹介した。また、PCR検査の対象者が5月8日時点でも日本の人口の10分の1程度だったことも問題視し、隠れた感染源のコントロールが困難であれば、国民の自覚と自制に頼る「感染防止強化」は、「場当たり的な対応」と評した。
また、3度目の緊急事態宣言期間中だった5月1日には、前年同日と比べて主要空港や主要駅には多くの人がいたなど、東京都から東京以外に、大阪府から大阪以外に出る人も大幅に増えたと指摘。民衆はすでに政府が求める「自主規制」を受け入れていないと評した。
さらに、日本では独自ワクチンの開発が進んでいないことも指摘。その理由としては、日本のワクチン市場が比較的小さいために、日本政府や日本企業が(経済効率を重視して外国で開発されたワクチンに頼る)「現実主義」となり、米国や英国では続けられてきた研究開発に対する資金支援といった条件が欠落し、研究開発の基礎条件が失われてしまったと指摘した。
また、日本では高度成長期まではワクチン開発技術はかなり高かったが、1970年代からはワクチンの副反応(副作用)を理由とする訴訟が相次ぎ、政府側が敗訴を重ねたことで、政府も製薬会社もワクチン開発の意欲を失ってしまったことも、新型コロナウイルス用ワクチンの開発で受け身になることにつながったと論じた。
記事は新型コロナウイルス感染症の流行が拡大しつつあることについて、日本では「天災ではあるが、ある程度までは人災と言うべき」との声が出ていると紹介した。(翻訳・編集/如月隼人)
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