新疆自治区のウイグル族人口は増えている=ジェノサイド説は「無知と偏見」―横浜国大名誉教授

Record China    2021年5月29日(土) 7時0分

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村田忠禧・横浜国立大名誉教授が講演。「新疆では漢族よりもウイグル族の人口増加が顕著である」と指摘。新疆でジェノサイドが進行中との主張には「無知と偏見の産物である」と批判した。写真は新疆カシュガル。

2021年5月28日、中国問題に詳しい村田忠禧・横浜国立大名誉教授が「中国の少数民族政策から見る新疆ウイグル族問題」と題して講演(オンライン)した。最も正確とされる『新疆統計年鑑』(新疆ウイグル自治区統計局編)を実証的に分析した結果、「新疆ウイグル地区では漢族よりもウイグル族の人口増加が顕著である」と指摘。新疆でジェノサイド(集団虐殺)」が進行中との主張について「無知と偏見の産物である」と批判した。

この講演会は、神奈川県日中友好協会 経済文化交流部会が主催し、日本国際アジア共同体学会、日本華人教授会議などが後援した。

<講演要旨は次の通り>

◆偏見に満ちた平野教授のジェノサイド論

中国の「新疆ウイグル自治区」が米中摩擦の新しいホットスポットになる中で、平野聡・東京大学教授が最近発表した「これぞ動かぬ証拠?新疆ジェノサイド〟示した中国統計年鑑」との論考は偏見に満ちたものであり、学問研究をする道から外れている。

平野聡氏は「2017年~19年にかけて、新疆ウイグル自治区の総人口が78万5500人増加した一方、少数民族人口は164万5000人も激減しているという異常な人口動態を見せている」と『中国統計年鑑』(国家統計局編)から見い出し、「ジェノサイドの証拠」と主張した。ところが歴年の同年鑑を分析すると、同じ新疆の少数民族の人口は18年、19年は確かに合わせて164万人の「減」だが、16年と17年の2年間は合わせて242万人の「大幅増」となっている。『中国統計年鑑』はばらつきが極端で正確ではない。

 新疆では漢族よりも少数民族の大半を占めるウイグル族のほうが人口増加が顕著であり、新疆で「ジェノサイド」が進行中とする主張は無知と偏見の産物である。『中国統計年鑑』の「民族自治地方行政区画と人口」のデータにはこの他にも不明瞭な点があり、ただ 2018 年の少数民族の値が前年より 157 万人近く減少した点だけを取り上げてジェノサイドと結び付けることはできない。

◆『新疆統計年鑑』から見えてくる事実

新疆の問題を論ずる場合には不可欠な正確な統計データが豊富に掲載されている新疆ウイグル自治区統計局編『新疆統計年鑑』が参考になる。新疆に居住する民族データがどのように示されているだろうか。どの項目でも急激で大規模な人口数の変動という不自然な現象は見当たらない。2010 年に漢族が 9.4 万人減となっているのは前年 7 月にウルムチで発生した暴動の影響と思われるが、翌年には 12 万人増と回復している。第 2 に、最も変動が大きい年は 2014 年で、 総人口は55 万人増加している。増加しているのは少数民族で、漢族は 5,500 人も減少している。

第 3 に、2015 年から 2018 年まで総人口はいずれも減少しているが、少数民族は増加傾向を示している。逆に漢族人口は減少している。2016、2017 年にそれぞれ 35 万人前後の漢族の減少が発生している。

第 4 に、 2018 年に少数民族は 1 万人弱の増加。中でもウイグル族は 2 万人強の増加を示している。一方で漢族は 4 万人強減少した。

ちなみに中国では「一人っ子政策」の時代も、ウイグル族を含む少数民族は複数の子供を持つことが許された。

◆テロ撲滅のための努力を妨げる米国の「人権外交」

新疆で年間に 100 万人規模でウイグル族が「虐殺」もしくは「幽閉」されているとしたら、1200万人のウイグル族の大半は自分の家族や友人のうちの誰かが犠牲になっていることになる。

2018 年に新疆を訪れた外国人の数の多い6カ国の 2017 年と 2018 年のデータを見ると、2017 年はモンゴルが一位だが、18 年にはカザフスタンが急増して 210 万人に急増。さらに注目すべきは日本、韓国以外はいずれも新疆と国境を接しているか、旧ソ連に属していた国で、自国内に新疆の少数民族と同じ民族を抱えている国々である。もし新疆で自己の民族同胞が抑圧され、犠牲になっているのなら新疆を訪問する気になるだろうか。

新疆ウイグル自治区の現実を知れば米国政府の『人権外交』の本質が無知と偏見で作られたデマ情報に基づいていることは明白である。残念なことに中国における新疆ウイグル族への「人権抑圧」の存在を主張し、中国非難の大合唱が欧米を中心に続いている。日本でもこの「時流」に乗ろうとする曲学阿世の徒が登場している。(八牧浩行

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