今年4月から毎週、次期韓国大統領選挙の有力候補の支持率を発表してきた世論調査会社が予告なしに調査を突然中断した、と朝鮮日報が報じた。他の調査に比べ、野党系の尹錫悦・前検察総長の支持率が高めに出ていた調査で、与党「共に民主党」支持者から抗議電話が殺到していた。

同紙によると、世論調査を中断したのはPNRリサーチ。4月からマネートゥデー、未来韓国研究所の依頼を受け、毎週日曜日に「全国定期調査－大統領選挙・政党指示度・国政評価」の結果を発表してきたが、11日には発表されなかった。PNR関係者は「発注元が理由説明なしで調査中断を一方的に通告してきた」と話した。

これまでPNRの調査は他の世論調査に比べ、尹氏の支持率が高かった。与党系の李在明・京畿道知事との一騎打ちを仮定した場合、常に尹氏がリード。最近、尹氏の妻をめぐる疑惑が論議を呼ぶ中でも尹氏の支持率は誤差範囲を超え、他の候補を上回っていた。

特にPNRの調査結果が最も注目されるのは最後に発表された内容だった。尹氏の義母が実刑判決を受けた今月2日以降に実施された初の世論調査だったからだ。当時PNRは全国の成人1001人を対象に「尹・李」の一騎打ちとなる構図で支持動向を調べた。その結果、尹氏が49．8％、李氏が41．8％で誤差範囲を超える差で尹氏が優勢だった。

さらに次期大統領候補としての適合度で尹氏の支持率は36．1％となり、むしろ前週（32．7％）に比べ上昇した。尹氏が支持率トップから陥落するか、2位との差が縮小した他の世論調査とは異なる結果だった。

これを受け、発注元とPNRには与党支持者らからの抗議電話が殺到。世論調査業界に10年以上勤務した関係者は、今回のPNRによる世論調査中断について「共に民主党の過激な支持層の勝利だ」と評した。

PNRは他社の世論調査との差に関して、「自動応答システム（ARS）と電話面接調査という調査方法の違いにすぎない」と説明する。ARSはあらかじめ録音された自動音声に従い、回答者が質問に答える方式で、電話面接調査は調査員が直接回答者に質問して回答を得る方式だ。PNRは全てARSで調査を実施している。

PNR関係者は「ARSの特性上、普段政治に関心がある人が参加する可能性が高く、より鮮明な結果が出る。政治世論調査の場合、実際の選挙で進歩または保守を選ばなければならない状況となるので、ARS方式による調査が実際の投票結果とより一致する傾向がある」と語った。（編集/日向）