未成年女性への性的暴行疑惑で公安局に身柄を拘留されていることが分かった歌手で俳優のクリス（呉亦凡/ウー・イーファン）だが、SNSや音楽配信サービス、映画やドラマの情報サイトに至るまで、あらゆる場所から姿を消す前代未聞の事態となっている。

韓国の人気グループEXOの華人メンバーだったクリスに、性的暴行疑惑が浮上したのは先月中旬のこと。同じく31日、北京市公安局・朝陽分局が運営する中国版ツイッター・新浪微博（ウェイボー）の公式アカウントが、強姦（ごうかん）罪の疑いによりクリスを拘留中であることを明らかにした。同日、中国共産党の中央政法委員会のウェイボーも、朝陽分局の投稿をシェアしていることから、拘留は疑いのない事実となっている。

1日、クリス本人および事務所が運営するウェイボーのアカウントが、いずれも運営側によって強制的に閉鎖された。音楽配信プラットフォームの「網易雲音楽」「QQ Music」「酷狗音楽」など主だったサービスでもクリスの楽曲が消滅。さらに最大手の豆瓣（Douban）をはじめとする映画やドラマの情報サイトでは、主演作の情報が全て消えたほか、出演作の名前表記が軒並み「1337000」というコードネームに入れ替わる事態となっている。

また、上海市にある「マダム・タッソーろう人形館」でも、クリスの蝋人形がすでに撤去されたことが2日、明らかに。クリスの芸能界での足跡が速やかに抹消される前代未聞の事態となっている。

未成年女性への性的暴行疑惑について、中国メディアでは被害者がかなりの数に上ると報道。また台湾メディアでは、違法薬物や人身取引への関与の疑いも報じている。ニュースサイトの新浪（SINA）が報じた北京市内の大手弁護士事務所の見解では、複数名への強姦罪が確定した場合、10年以上の実刑判決となる可能性もあり、クリスはカナダ国籍だが、中国国内で発生した犯罪には中国の法律が適用されるという。

中国共産主義青年団北京市委員会の機関紙・北京青年報のウェイボーでは2日、ネットの管理やサイバーセキュリティーを行う中央網絡（インターネット）安全和信息化委員会が、未成年者による芸能人のファンコミュニティーの管理を強化するため、対策の検討に入ったことを明らかにし、早くも今月15日に、具体的な対策を公表する予定となっている。（Mathilda）