伊藤美誠はなぜ中国で批判されるのか―中国メディア

Record China    2021年8月10日(火) 15時30分

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東京五輪に出場した卓球の伊藤美誠が中国のネット上で批判を浴びていることについて、中国メディアの観察者網は9日付でその「真相」を説明する記事を掲載した。

東京五輪に出場した卓球伊藤美誠が中国のネット上で批判を浴びていることについて、中国メディアの観察者網は9日付でその「真相」を説明する記事を掲載した。

今大会から採用された新種目「混合ダブルス」で水谷隼・伊藤ペアが中国の許昕(シュー・シン)・劉詩雯(リウ・シーウェン)ペアを破り金メダルを獲得した後から、中国のネット上では伊藤への誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。伊藤はちょうどその時期に中国版ツイッター・微博(ウェイボー)アカウントを閉鎖している。

記事は、「伊藤のことが好きではないのはもちろん構わない。人それぞれどう思うかは自由だ」とする一方、「伊藤に対する世論のイメージと彼女本人との間にどれほどのギャップがあるか。これを知らなければ、中国がどのような伊藤美誠を打ち破ったのかを理解することは永遠にできない」と論じた。

まず、女子シングルスの準決勝で伊藤が孫穎莎(スン・インシャー)に0-4で敗れた後、中国のネット上では伊藤が「2~3割の力しか発揮できなかった。全力を発揮すれば中国選手に勝てる」と発言したとの記事が出回り、いくつかのメディアや著名ブロガーが「伊藤は団体戦でリベンジすると言いふらしている」などと伝えていたことを紹介。「これにより、伊藤は負けを認めない、言い訳をするというイメージが形成された」とした。

しかし、記事は「実際に伊藤が発した言葉はそうではなかった」と指摘。日本の報道を引用する形で、伊藤が実際には「負けるにしてもすべて出し切りたい。それができなかったのが悔しい」「すべてを出し切れれば、中国人選手に勝てなくはないと思う。ただ、出し切れないときに実力差が出てしまう」「基本的には100%以上を出さないと勝てない。そういう意味では、今日は20~30%くらいの力しか出せなかった」とコメントしていたことを説明した。

次に、伊藤が幼少期に寝ていた時に、母親が耳元で「中国選手に勝てるのはあなただけ」とささやいていたというエピソードについて、中国のネット上では「子どものころの洗脳教育によって心がゆがんだ」とやゆする声が上がっていると紹介。だが、「その指摘は根拠がない」とし、この部分はバラエティー番組の一部が切り取られて伝えられたにすぎず、実際には「母親の美乃り(みのり)さんは伊藤が2歳のころからトレーニングと生活面で支え、娘の卓球のためにすべてを捧げてきた。伊藤の成功の陰の功労者である」とした。

また、「美乃りさんは娘をロボットにしようとしていたのではなく、自分の頭で考える習慣を身に付けさせようとしていた。そのため、先輩を相手にも伊藤は臆することなく自分の意見を言うようになった」「卓球を始めたのも伊藤の意思であり、美乃りさんは『やるからには世界一を目指しなさい』と言った」「娘の海外遠征費をねん出するため、仕事を三つ掛け持ちした。すべては伊藤のためだった」とも説明した。

さらに、美乃りさんが海外遠征にも同行し、おにぎりを作って娘を支えたこと、伊藤が中国選手らに美乃りさんのおにぎりを振る舞ったこと、馬琳(マー・リン)コーチが「ご飯だけでおかずがないね」と冗談めかして言うと、翌日には肉をまいたおにぎりを持って来て孫らに振る舞ったことなどを紹介した。

記事はまた、中国メディアは「日本のメディアが伊藤のことを『大魔王』などと呼んでいる」と嘲笑していたが、実際に伊藤を「大魔王」と呼んだのは中国の大手紙が最初であると指摘。シングルスの後に伊藤が「中国は勝つために何でもやる国」とツイッターでやゆしたとの情報が中国で出回ったものの、これは全く別のツイッターユーザーが「#伊藤美誠」を付けて投稿したものだったとした。

そして、「オリンピックが終わり、伊藤をめぐる議論は徐々にトーンダウンしてきた。彼女は孫と同い年、日本女子卓球の未来を背負う存在だ。伊藤は過去5年間、そして少なくともこれから10年間は中国の厄介なライバルであり続ける。パリ五輪の試合会場では、伊藤と孫が再び相まみえることだろう」と結んだ。(翻訳・編集/北田

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