如月隼人 2021年8月11日(水) 20時50分
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国民にどの程度スポーツが浸透しているか、つまり「真の意味でのスポーツ強国」を知るためには、人口当たりのメダル獲得を調べてみるのも、一つの方法かもしれない。写真は東京五輪閉会式。
東京五輪が始まってから閉幕するまで、各国のメダル獲得数の行方に「気もそぞろ」になった人も多かったのではなかろうか。ただ考えてみれば、人口が多ければ競技人口も多くなる。競技人口が多くなれば優秀な選手も増えて、メダルには手が届きやすくなるはずだ。ということは国民にどの程度スポーツが浸透しているか、つまり「真の意味でのスポーツ強国」を知るために、人口当たりのメダル獲得を調べてみるのは、一つの方法かもしれない。
そこで、金メダル獲得数が4個以上だった21カ国について、人口1億人あたりの獲得数を算出してみた。トップはニュージーランドで146.4個だった。次がジャマイカの135.7個だった。人口当たりではこの2カ国が飛びぬけて多くの金メダルを獲得したことが分かった(一覧は本記事の最後の部分に掲載)。
日本の場合は人口1億人当たりの金メダル獲得数は21.3個で、21カ国中で10位だった。金メダルの獲得数が最多だった米国は11.9個で16位。中国は2.7個で21位だった。
日本の場合、五輪における歴代最多のメダル獲得が実現できたことが、選手や関係者の長年にわたる努力の賜物であることは間違いない。ただ、「もっとメダルを獲得しよう」と決意すれば、現在以上に上乗せすることも不可能ではなさそうだ。ただ日本の場合、金・銀・銅のメダル全てでは、人口当たりでの順位が14位に下がってしまうことは、やや気になるところだ。
日本以上に「潜在力」があるのは、やはり中国だ。中国の場合には国の規模が巨大なので、国の総力を結集すれば大きな成果を収めることができる。しかし人口当たりで考えれば、意外に「未発達」なことも多い。東京五輪でも人口当たりで計算すればメダル獲得数が相当に少なかったことを考えれば、素質がある子どもなどを発掘して確実に育成する体制をさらに整備するなどで、メダル獲得をさらに増やす余地は大きいと考えるのが自然だろう。
人口当たりの金メダル個数が最も多かったニュージーランドは、人口1億人あたりのメダル獲得数でも418.1個と、他を圧倒した。同国政府観光局の日本語サイトも「スポーツの国、ニュージーランド」のページを設けている。スポーツが盛んであることが誇りであることは間違いなさそうだ。同ページが特に人気のあるスポーツの一つとして紹介したのが水上スポーツだ。確かにニュージーランドは東京五輪でもカヌーでメダルを3個(いずれも金)、ボートで5個(金3個・銀2個)、セーリングで1個(銅)を獲得している。同国で盛んな水上スポーツがメダル獲得数を押し上げたのことは、間違いなさそうだ。
また、人口当たりのメダル獲得数でも2位だったジャマイカが獲得した9個のメダルは、いずれも陸上競技によるものだった。人口が少ない国は多くの場合、国土面積も狭い。ということは地域による環境の差も、より小さいだろう。ということは、人口が少ない国が着実にメダル獲得数を増やそうと考えた場合、国土や国民性によく適合した競技に力を入れることが、一つの方法であるかもしれない。
最後に、人口1億人当たりで計算した、金メダル獲得数と金・銀・銅の全てのメダルの獲得数の一覧をご紹介する。各国の人口は、世界保健機関の「ワールド・ヘルス・スタスティクス2021(世界健康統計2021)」が掲載した2019年の数字を使用した。ただし同リポートは中国の人口について台湾なども含めているとみられるので、中国については自国が発表している2019年の統計である13億9800万人という数字を使った。
【東京五輪 人口1億人当たりの金メダル獲得数】
<1> ニュージーランド 146.4
<2> ジャマイカ 135.7
<3> ノルウェー 74.4
<4> オーストラリア 67.5
<5> ハンガリー 62.0
<6> キューバ 61.8
<7> オランダ 58.5
<8> チェコ 37.4
<9> 英国 32.6
<10> 日本 21.3
<11> カナダ 18.7
<12> イタリア 16.5
<13> フランス 15.4
<14> ROC 13.7
<15> ドイツ 12.0
<16> 米国 11.9
<17> 韓国 11.7
<18> ポーランド 10.6
<19> ケニア 7.6
<20> ブラジル 3.3
<21> 中国 2.7
【東京五輪 人口1億人当たりのメダル(金・銀・銅)獲得数】
<1> ニュージーランド 418.1
<2> ジャマイカ 305.3
<3> オランダ 210.6
<4> ハンガリー 206.5
<5> オーストラリア 182.5
<6> ノルウェー 148.7
<7> キューバ 132.4
<8> チェコ 102.9
<9> 英国 96.3
<10> イタリア 66.1
<11> カナダ 64.2
<12> フランス 50.7
<13> ROC 48.7
<14> 日本 45.7
<15> ドイツ 44.3
<16> 韓国 39.0
<17> ポーランド 37.0
<18> 米国 34.3
<19> ケニア 19.0
<20> ブラジル 10.0
<21> 中国 6.3(翻訳・編集/如月隼人)
■筆者プロフィール:如月隼人
1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。 Facebookはこちら ※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。 ブログはこちら
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