刃物持った銀行強盗が目の前に、行員は通報せずにのんびりスマホ―杭州

Record China    2021年8月15日(日) 19時20分

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刃物を手に持つ銀行強盗と行員がのんびりと会話。行員は会話する一方で、スマホをいじったりしている。事件発生を通報する様子もない。中国で、こんな動画が評判になった。

浙江省杭州市で発生した銀行店舗での一幕。冷たく光る中華包丁を持った男がカネを要求する。目の前に座る行員は、強盗事件の発生を通報する様子もない。なぜか、スマホを取り出してのんびりと操作している。時おり包丁を持つ男に声をかけている。後になり、撮影されていた動画を見た中国人も驚いた。中国メディアの観察者などが伝えた。

事件が発生したのは9日だった。男はその日、同じ銀行に4回も足を運んだ。金が必要だったからだ。1回目は行員に、ATMを使えと言われた。しかしATMから現金を引き出すことはできなかった。2回目は銀行員に対して、急いで必要なので貸してほしいと言った。しかし銀行員は「条件を満たしていない」と言って断った。

3回目に対応したのがマネージャーを務める許さんだった。金を貸せないのは同様だ。男は「強盗をする」と言いだした。許さんは取り合わなかった。許さんはデスクに向かっており、パソコンで作業をしたり、スマホをいじったりして「じゃあ、盗みなさいよ。私は先に自分のことをする」と言ったりもした。男は立ち去った。

再び許さんの前に現れた男は、中華包丁を持っていた。男は許さんのデスクの向かい側に座った。大きな包丁を取り出して、握りの部分をつまんでデスクの上に包丁を立てた。後で明らかにされた動画を見ると、許さんはスマホを取り出して眺め、時おり男と会話をしている。緊張した様子はない。

許さんによると、男は本気ではないと判断したという。本当に金を強奪するならば、すぐに行動に移るはずだからだ。警報システムを利用することも考えたが、男と雑談をすることにした。すると、男は借金を返せずに困っていることが分かった。そのうち、男にも電話がかかってきた。男は背中を見せて話しだした。許さんは、金を返すよう催促の電話の可能性があると考えた。

許さんがスマホをいじっていたのにはわけがあった。「銀行強盗事件とその結末」を検索して男に見せ、犯行を断念させようとしたのだ。許さんは当時の自分を「相手は刃物を持っていたんですよ。スマホをいじっている心境じゃありませんでしたよ」と振り返った。

同じ部屋には別の行員がいたが、すぐに通報することはなかった。男の様子をずっと観察していた。許さんは男に対して、ここには現金を置いていないと告げ、立ち去るように勧めた。ところが男は、「逃げてから捕まったのでは罪が重くなるから、ここを離れたくない」と言い出した。

部屋にいた別の行員は、それでも慎重だった。男の注意が向けられていない隙を見計らって、許さんはようやく通報した。許さんはその時は故意に、机にある通報システムのボタンを押そうとする仕草を男に見せていた。男にわざと何度も見せて、格段の反応を示さないことを確認してからボタンを押した。ボタンを押した後も、男と雑談を続けた。男は包丁から手を放し、机に置くこともした。しばらくして駆けつけた警察官が刃物を取り上げて、男の身柄を確保した。男は酒気を帯びていたという。

許さんによると、冷静でいられたのは日ごろの訓練のおかげだという。銀行の警備担当者によると、刃物を持った強盗、銃を持った強盗、爆発物を持った強盗など、さらに人質を取られた場合など、さまざまな状況を想定しての訓練を四半期に1度実施しているという。

中国では、明らかにされた動画を見て、2004年公開の中国映画「イノセントワールド -天下無賊-」の1シーンとそっくりだとする声が出た。ネットには「あなたち2人は、実に友好的だった」「マネージャーさんには、とっても大変な日だったね。雑談しながら通報することになった」などのコメントが寄せられた。「包丁を持って銀行強盗をしながら、マスクも付けていた。感染防止の意識だね」と、男がマスクを着用していたことに目を付けたユーザーもいた。(翻訳・編集/如月隼人

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