2021年8月16日、韓国・ソウル経済によると、文在寅（ムン・ジェイン）大統領が任期最後の「光復節」演説を行なったが、日本と北朝鮮へのメッセージは盛り込まれなかった。

日本による植民地支配からの解放を記念する「光復節」の15日、ソウル市内で式典が行なわれ、文大統領が祝辞を述べた。その中でドイツの統一モデルについて言及し「南北の共存、朝鮮半島の非核化と恒久的平和を通じて、北東アジア全体の繁栄に寄与する『朝鮮半島モデル』をつくり出すことができる」「朝鮮半島の平和を強固に制度化することこそ、南北双方にとって大きな利益だ」と述べた。しかし、南北離散家族の面会、南北ビデオ会談など、具体的な協力事業については全く触れなかったという。北朝鮮は10日に南北通信連絡線を再び遮断しており、記事は「北朝鮮への期待をやめたものと解釈される」としている。

日本についても、未来志向的協力と歴史問題の解決を分けようという「ツートラック」戦略をそのまま維持したが、元徴用工・慰安婦問題などに関する具体的な解決策は提示せず、演説の中で「日本」という単語を使用した回数も昨年の8回から3回に減ったという。「両国の懸案はもちろんコロナや気候問題などに共同で対応するため、対話の扉は常に開けてある」とも述べたが、「歴史問題については国際社会の普遍的な価値と基準に合った行動と実践で解決していく」と述べるにとどまったと伝えている。

記事は、この演説について「日韓首脳会談の決裂、南北通信連絡線の遮断など、外交的突破口が全て行き詰まっている状況を受けてのものだと解釈される」と説明。日本と北朝鮮側も「特段の反応を見せなかった」とも伝えている。また、米国、中国に向けたメッセージも盛り込まれなかったという。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「南北連絡事務所を爆破されただけじゃなく、ホットライン断絶という恥をかかされ、1年ぶりの再開だと喜んでいたら、わずか数日でまた断絶。コメディにもなりゃしない」「外交は全く駄目だね、やれやれ」「文大統領にできることは、北朝鮮のズボンの裾をつかんで『会談してくださいよ～』と言うことだけ」「まず第一の目標は、国内問題から忠実に解決し、国民の支持に応えることではないか？。それがある程度の成果を出してから、隣国との関係に目を向けるべきだ。国内問題に対する反省も述べてほしい」「任期最後の演説にしては内容がみすぼらしい」など、大統領への不満の声が殺到している。（翻訳・編集/麻江）