Record China 2021年8月28日(土) 13時20分
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ドイツメディアのドイチェ・ヴェレは26日、中国がリトアニアへの圧力を強めていることが、欧州の他の国の台湾問題への姿勢に影響するかを分析する記事を掲載した。
台湾は先日、リトアニアに「台湾」の名を冠した「代表処(大使館に相当)」を設置すると発表、リトアニア政府もこれを認めた(日本を含め多くの国は「台北」としている)。中国は「一つの中国」の原則に反するなどとして強く反発、駐リトアニア大使の召還を決めた。中国はリトアニアの駐中国大使にも帰国するよう求めているほか、貿易を通じてリトアニアにさらに圧力をかけている。
記事によると、バルト通信(BNS)は中国国家鉄路集団傘下の中鉄集装箱運輸(CRCT)がリトアニアの取引相手に対し、両国関係緊張のためリトアニアに直行する貨物列車の一部をキャンセルするよう伝えたと報じた。リトアニア国鉄は8月末と9月前半に中国からリトアニアに直通する貨物列車の複数の運行が停止されたことを確認しているという。
また、リトアニアの一部の輸出業者も中国側が輸入許可の更新を停止しているため、畜産品、農産品、ビール、木材などの輸出に影響が出ている。リトアニア工業連合会の会長は、中国側が農産品に病虫害があるなどと指摘しているとし、こうした不満は「過去にはなかったこと」と述べた。製品の95%を中国向けに輸出していた木材輸出会社は、現在では注文が全く入らなくなったという。
こうした状況について、ドイツ・マーシャル財団の馬暁月(Mareike Ohlberg)研究員は「想定内のこと」とし、「中国はしばしばこのように特定の国に経済的な報復を行う」と指摘。例として、中国と関係が悪化しているオーストラリアのワインに多額のアンチダンピング税が導入されたことを挙げた。一方で、リトアニアはオーストラリアに比べて中国との貿易規模が小さいことから、馬氏は「中国が経済でリトアニアに報復する余地は限られている」と分析。そのため、他のルート、表面的には中国と関係がなさそうな組織を通じてリトアニアに圧力をかける可能性を示唆した。
この件をめぐり、中国と対立する米国はリトアニア側を支持した。馬氏は他の欧州諸国もこの騒動に注目しており、米国以外の欧州諸国がリトアニアを支持するかどうかが大きな鍵になるとの見方を示した。ただ、経済的に中国と深い関係にあり、国内に政府に対して圧力をかける団体が存在するドイツやフランスが強硬な立場を示すのは難しいと見ている。
馬氏は、欧州の中でリトアニアを支持するとすれば、バルト三国のエストニアかラトビアしかないと予想。ラトビアのリガストラディンズ大学中国研究センターのチェレンコワ主任も、「事態がエスカレートすれば、リトアニアが中国に対抗する唯一の欧州の国ではないことを中国は理解するだろう」と述べた。
同主任は一方で、リトアニアでは香港問題をめぐって中国人が現地の聖地とみなされている場所で「香港支持」と書かれた十字架を破壊した騒動があり、中国への反発が強いものの、ラトビアやエストニアでは市民が中国に反発する理由は特にないとし、温度差があることを指摘。リトアニアの問題を踏まえて、この2国は中国との関係をどうするか「様子見」の状態であるとした。
ただ、同主任はこの2国は中国から徐々に離れていく可能性が高いと予想しており、今春に中国が主導する欧州での協力メカニズム「17+1」からリトアニアが離脱したことを挙げ、次回のサミットでラトビアとエストニアが引き続き参加するかが焦点になるとの見方を示した。(翻訳・編集/北田)
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