2021年9月6日、米華字メディア・多維新聞は、芸能人の職業道徳問題で揺れる中国で、芸能人の「資格制度」導入の是非をめぐる議論が繰り広げられていることを報じた。

記事は、中国共産党中央宣伝部が先日、芸能業界の管理強化とともに、マネージャーの資格認証制度の徹底を求める通知を出し、国家広播電視総局（国家ラジオテレビ総局）もバラエティー番組とその関係者の管理強化に関する通知を発表したと紹介。これに関連して、芸能人に対しても資格証制度を導入すべきだとの声が専門家から出ている一方で、「芸術活動を一つの基準で認証するというのは難しい」との意見もあると伝えた。

その上で、中国演出業界協会の潘燕（パン・イエン）事務局長が「俳優の品格や道徳については評価基準を作れるかもしれないが、芸術能力についてはどう判断するのか。芸術には統一の基準がなく、観衆の好みはそれぞれ異なる。それを一つの基準で認証するというのは難しいだろう」と語ったことを紹介した。

また、映画評論家でコラムニストの韓浩月（ハン・ハオユエ）氏も「映画学校、戯劇学校出身者であれば高い確率で認証を取得できるだろうが、それでも道徳面で問題がないことを保障できるわけではない。役者の専門能力は一つの物差しで測れるものではない」と語るとともに、「専門学校出身でも、専門的な訓練を経験してもいないのに、実際の演技で才能を開花させた役者もいる。資格のある無しで一刀両断してしまっては、そのような天才役者を殺すことになる」と指摘したことを伝えている。

さらに、潘氏が「俳優を教育、管理する責任を所属事務所やマネージャーにしっかりと担わせることが必要。管理当局がマネジメント会社や従事者の管理を強化するとともに、業界団体が芸能人の道徳性、自律性を高めるよう務めることが、（単一基準による資格制度の導入よりも）実行可能性が高い管理モデルだ」との考えを示したことを報じた。（翻訳・編集/川尻）