2021年10月4日、中国メディアの観察者網は、中国からベトナムに生産拠点を移した米ファッションブランドが、ベトナムでの新型コロナ感染拡大により製品の供給不足に陥っていると報じた。

記事は、ここ数年で多くの外資メーカーが生産拠点を中国から東南アジアに移転しており、中でもベトナムが最も人気の移転先になっていると紹介。一方で、米CNNの2日付報道として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いベトナム国内の工場が閉鎖されている影響で、米国の服装、靴ブランドのサプライチェーンが打撃を受けていると伝えた。

そして、シューズ製品の51％をベトナムで製造しているナイキは、消費者のニーズが高まる一方で商品の供給が追いつかないため、9月末に年間の売り上げ予測を下方修正したと指摘。ベトナムの工場が7〜9月に強制閉鎖されたことで、この10週間の生産量がゼロになったとした。また、10月入って段階的に再稼働が始まる見込みであるものの、完全に生産が回復するには数カ月間必要だとするナイキのマシュー・フレンドCFO（最高財務責任者）の話を紹介している。

さらに、ナイキ以外にもアディダスやアンダーアーマーといったスポーツ系ファッションブランドもサプライチェーンのリスクが顕在化しており、UGG、コーチ、マイケル・コース、パシフィック・サンウェア（PacSun）などベトナムで大量生産を行っているその他ファッションブランドも打撃を受けていると伝えた。

記事は、専門家の話として、ベトナムの工場が完全に通常の生産体制まで回復するには5〜6カ月の時間が必要である上、工場を再開しても離散した作業人員を再び集めなければならないという難題が残るとした。

ベトナムでは変異株のデルタ株により新型コロナ感染者が5月下旬から高止まりしている。同国政府は7月に厳格な感染拡大防止措置を取り、大型の工場の一時閉鎖を決定した。また、新型コロナは現地経済にも深刻な打撃を与えており、同国統計総局が9月下旬に発表したデータでは、今年7〜9月期の国内総生産（GDP）が前年同期比で6．17％のマイナス成長となる予測が示された。（翻訳・編集/川尻）